最終話 疑問点

 ふと、目が覚めた。

 朝ではなく、まだ夜。

 深夜に起きるなんて久しぶりだ。


 周りを見てみれば、何も変哲もない俺の部屋。

 窓から月の光が入り、この部屋を照らす。

 

 寝ている俺の横には、スズランの姿が無く。

 心に寂しさを覚える。

 さっきまでの事は全て夢だったのだろうか。

 

 あの夢のような話は全て嘘だった?

 ……いや、布団に温かさが残っている。


 そんな訳ない。


 部屋を出るとベランダの扉が開いている事に気付く。

 走って近づいて見れば、ベランダの笠木に体を預ける少女の姿。


 魔王スズランだ。


 心が熱くなった。

 居なくなってしまって悲しくなった思いを一旦心にしまおうとしたがもう遅い。

 涙が頬に流れ、足をゆっくりと動かしベランダへ足を運んだ。


 「どうしたんだ、こんなところで」

 「ほう、蒼矢……いやか。ちと、少し嫌な気配を感じたんじゃ」

 「嫌な気配?」

 「うむ。わらわにわかるのは恨みに悲しみ、孤独、不安の全て負の感情が集まった何かが今、この街のどこかにいる」

 「何故そんな者が突然……スズランがこの世界に来た理由と何か関係性があるのか?」

 「…………おかしいと思わぬか? どうしてわらわ達は、ある日から突然勝負なんてしたんじゃ? その理由わけが相互で違う。何か裏があるのではないか? 蒼矢よ、明日は学校っていう所に行くんじゃっけか? 気を付けるんじゃぞ」

 「……わかった」


 その後、スズランに泣いていたことを煽られ、今日と言う物語が幕を閉じていくのであった。

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どうやらゲームの世界でボコボコにしていた魔王が現実に転移してしまったらしい 星影の変わり人 @natorikageboshi

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