第3話 自由
法律や宗教、そして文化などに縛られたくない。
しかし、自分に染みついてしまった普通には、なかなか気づくことができない。
誰が決めたのかもわからない枠組みに、自由を制限されたくない。
それでも、僕は伝統や歴史を愛している。
何世代にもわたり継承されてきた知恵や知識が、今の僕たちに繋がっているという事実に、言葉にし難い感動を覚える。
たとえば、美しい細工に込められた職人の技術や、地域の収穫祭に集まる人々の笑顔には、理屈を超えた美しさがある。
それは、伝統や宗教の押しつけとは異なる形で僕の心に響く。
歴史には人々を苦しめてきた側面もある。
宗教が生み出した偏見や戦争、文化に根付いた不合理な慣習。
それらを美化するつもりもないし、するべきでもない。
けれど、それらを乗り越え、僕たちがここに存在しているという現実もある。
科学の進歩も、今こうしてあなたとつながっているこの瞬間も、数多の人々の努力の積み重ねによって成り立っている。
自由への渇望と、伝統や歴史の中に息づく人間らしさへの尊敬と感謝。
どちらか一方を選ぶことはできない。
矛盾を抱えたまま、揺らぎ続けるその中にこそ、自由があると信じている。
虚構現実 @omuro1
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