第2章:ライバル登場
第1話:新しい店舗クローバーマート登場
ギルドの圧力から解放された篠田商店は、町の住民たちに支えられ、以前にも増して活気を取り戻していた。だが、そんな中、誠のもとに新たな知らせが届いた。
「ねえ、誠さん、聞いた?中央通りに新しいお店ができたらしいよ!」
篠田商店の常連である少年が教えてくれたのは、隣町から引っ越してきた商人が開業したという話だった。その店は「クローバーマート」といい、誠の店と同じく、日用品から食品まで幅広い品揃えが特徴だという。
その日の夕方、誠は様子を見に行くことにした。クローバーマートは町の中心部に位置し、真新しい建物が目を引く。店の前には多くの客が集まり、活気あふれる声が響いていた。
「いらっしゃいませ!新鮮な果物がお買い得です!」
店の前で笑顔を浮かべながら客を迎えるのは、30代半ばと思われる男性だった。筋骨隆々とした体格で、茶色いエプロン姿がよく似合う。彼の姿には、誠も思わず感心してしまうほどの堂々たる自信があった。
「あなたがこの店の店主ですか?」
誠が声をかけると、彼は振り向いて爽やかな笑顔を見せた。
「そうだ。俺は大河内拓馬。この町で新たに商売を始めることにした。君が篠田商店の店主だな?」
その言葉に誠は驚いた。すでに篠田商店のことを知っているとは、ただ者ではないと直感した。
拓馬は誠に向き直り、力強い握手を求めてきた。
「噂は聞いているよ。ギルドと戦いながら、町の人々に愛される店を作っているってな。俺も商売人として、そんな君と一度勝負してみたいと思ってたんだ。」
誠は少し戸惑いながらも、握手に応じた。
「勝負って……商売で、ですか?」
「ああ、正々堂々とね。この町に新しい風を吹かせるのが目的だ。お互い、いい刺激を与え合おうじゃないか。」
誠の胸に、言葉では言い表せない感情が沸き起こった。ギルドのような不正をする相手ではなく、真正面から競争を挑むライバルの登場。それは、誠にとって未知の経験だった。
「わかりました。お互いにいい商売ができるよう頑張りましょう。」
誠の答えに、拓馬は満足げに頷いた。そして、新たな競争の幕が上がった。
異世界コンビニ経営記 ~あの町を独占せよ~ みなと劉 @minatoryu
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