第10話:暴かれたギルドの闇

広場での誠の訴えが住民たちの心を掴んだ翌日、町全体に一つの噂が広まっていた。それは、商業ギルドが篠田商店だけでなく、他の小規模商人たちにも圧力をかけ、不当に利益を独占しているというものだった。


「聞いたかい?ギルドが仕入れ先にまで手を回しているらしいよ。」

「そんなの許せない!あの人たち、私たちを食い物にしているんじゃないか?」


住民たちの声は次第に怒りを帯び始め、商業ギルドへの不信感が急速に高まっていった。


その噂の出どころを探るうちに、誠たちはある重要な情報を掴んだ。ギルド内部の不満を抱えていた若い商人が、ギルドの実態を告発したのだ。

彼の名前はラミル。以前はギルドの下で働いていたが、不正が横行する現場を目の当たりにし、耐えきれず逃げ出したという。


誠はラミルから直接話を聞くことにした。


「ベルモンドたちは、自分たちに従わない商人を徹底的に潰すんだ。俺も、何度か無理やり契約を結ばされた……。篠田商店がやられてることも同じだ。」


ラミルの告白は具体的かつ衝撃的だった。篠田商店への妨害工作だけでなく、ギルドが町全体の流通網を牛耳り、不正な価格操作を行っている証拠もあった。


その情報を手にした誠は、再び行動を起こすことを決意した。町の広場で、ギルドの悪事を公にする場を設けるのだ。


「これを黙って見過ごすわけにはいかない。僕たちは正しい道を進むだけだ。」


誠の言葉に仲間たちは頷き、彼を全力で支える覚悟を固めた。そして、その日がやってきた。広場には再び多くの住民たちが集まった。


「今日は、皆さんに真実をお伝えします。」


誠は、ラミルの証言とギルドの不正の証拠を公にした。圧力や価格操作、契約の強要――ギルドが町を支配するために行ってきた数々の悪事が次々と明らかになった。


「こんなことが許されていいはずがない!」

「ギルドを信用していたのに、裏切られた!」


住民たちの怒りは一気に沸点に達し、ギルドを非難する声が広場に響き渡った。


一方、広場の端で様子を見ていたベルモンドたちは、追い詰められた表情を浮かべていた。


「計画が漏れた……。誰がこんなことを!」

「篠田商店、いや、誠のやつか!」


彼らはその場から立ち去り、次の手を考え始めていた。

その日の夜、誠は店に戻りながら深く息をついた。これでギルドの悪事を暴く第一歩は踏み出せたが、戦いはこれからだ。


「これからは、町の皆さんと一緒に、もっといい商売を作っていこう。」


彼の心には、新たな希望と強い決意が芽生えていた。そして篠田商店は、町の商人たちと手を取り合い、新しい未来に向けて動き出すのだった。

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