第9話:広場での決意
翌日、篠田商店を救うための説明会が、町の中央広場で開催された。広場には、篠田商店の常連客だけでなく、町の商人や住民たちも集まっていた。誠はその中央に立ち、緊張した面持ちで言葉を紡ぎ始めた。
「皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。この町で商売を始めてから、たくさんの方々に支えられてきました。しかし今、篠田商店は厳しい状況に置かれています。」
誠は仕入れ業者への圧力や悪質な噂話といったギルドの妨害について、包み隠さず説明した。その話に集まった人々の間からざわめきが起こる。
「それ、本当なのか?」
「ギルドがそこまでやるなんて……!」
誠は深く息を吸い込み、さらに言葉を続けた。
「ですが、私は諦めません。この町で信頼される商店であり続けるために、どんな困難があっても戦い抜きます!そして、皆さんにお願いがあります。私たちを信じて、どうか応援してください!」
その熱い言葉に、一瞬静まり返った広場だったが、すぐに大きな拍手が湧き起こった。
その中で、ミルリ村の老夫婦が手を挙げた。
「私たちは、篠田商店のおかげで生活が成り立っている。これからも協力を惜しまないよ!」
続いて、町のパン屋の主人が声を上げた。
「誠さんの商店があるおかげで、うちのパンも評判が上がってる。町全体が豊かになるには、こういう店が必要だ!」
次々と賛同の声が上がり、広場全体が篠田商店を支持する空気に包まれた。
だが、その様子を遠巻きに見ている一団がいた。ベルモンドを含むギルドの幹部たちだ。彼らは誠の演説を黙って聞きながら、憤りと焦りを抱いていた。
「こんな小さな商店にここまで手を焼くとはな……。だが、これで終わると思うなよ。」
ベルモンドは低く呟き、幹部たちに何か指示を出していた。
その日の夜、篠田商店の仲間たちは、広場で得た支援を喜びながらも次の対策を練っていた。
「ギルドは間違いなく、また何か仕掛けてくるはずだ。」
冒険者の一人が慎重に話す。
「今度こそ正面から戦う準備をしよう。町全体を巻き込んだ大きな流れを作るんだ。」
誠は頷きながら、これまでに築いてきた人々との絆を強く感じていた。
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