第8話
どれくらいの時間が経ったんだろう。
先程殺されかけたという事実で俺は思うように体を動かすことが出来なかった。
侵入者の撃破により生成Pt50・DP50を獲得しました。
50ポイント増えたところでどうしろって言うんだよ。
相手は1人だったのに殺されかけたんだぞ。
駿也に先程まであった意気込みは殺されかけた経験により無くなっていた。
今駿也の中にある感情は後悔だけだった。
自身の怠け癖のせいでダンジョンマスターなんてものになってしまい、そしてダンジョンマスターとして生き残る為のポイントも雀の涙程度しか残っていない。
「あぁ、そうだ。外に出れるんだ」
俺はこのまま死ぬならせめていつも通りの生活をした上で死にたいと思いスライムを召喚してダンジョンの外に出る。
◇◇◇
「駿也!!」
外に出て辺りを見渡していると六華が居た。
「あんた大丈夫!?」
「何がだよ」
「あんた新しく出来たダンジョンに巻き込まれたのよ!!」
六華の話を聞いた限り突如俺の家にダンジョンが現れその現れた時に出来たひび割れに飲み込まれたらしい。
おかしいな
俺はボス部屋に転移のような形でダンジョンに移動したはずだ。
「とりあえずあんたはおばさんに無事の報告しなさいよ」
「俺の家にダンジョンが出来たなら母さんたちはどうしてるんだよ」
「政府からダンジョンによる被害として新しい家が貰えたから引越してるわよ」
「どこに引越したんだ?」
六華に新しい家へと案内してもらう。
「は?ここって」
俺が案内された場所は六華の家の隣だった。
今まで六華の家は俺の家から徒歩10分程の場所だったがそれが真横へと移動していた。
移動していたっていうか俺の家が移動したのか。
「おばさーん!駿也が帰ってきたよー!!」
六華が扉を開けて俺の無事を報告すると母さんが足跡をたてながら出てきた。
「駿也!!」
「ただいま」
母さんは俺の無事が分かって安堵したのか抱きついてくる。
俺は家の中に入り、自室へと移動する。
「これからどうするか」
そんなことを考えているといつの間にか寝てしまっていた。
◇◇◇
気付けば外が暗くなっていた。
枕元に置いていた電話がなる。
「もしもし」
『唯川駿也様のお電話でお間違いないでしょうか』
「そうですね」
電話の相手は俺をダンジョンマスターにした人物だった。
『1つお伝えするのを忘れていました。』
「何をですか」
『唯川様の知り合いの方の記憶を少し変更させていただいてます。』
あぁ、六華と俺のダンジョンへの入り方の記憶が違うわけだ。
伝えたられたのは記憶を弄ったという内容だけだった。
俺はそのまま階段を降りてご飯を食べるためリビングに行く。
「あら、起きたのね」
「父さんと舞は?」
「お父さんはまだ仕事ね。舞は塾よ」
「何か食べるものある?」
そう言うと母さんはすぐにご飯を用意してくれた。
おいしいな
もしかしたらこれが最後に食べる母の味の可能性もあるのか。
ゆっくりとご飯を食べ進めていく。
「ただいま〜」
「あら、おかえりなさい」
「おかえり」
「お兄ちゃん!?無事だったの!!」
「ああ」
舞は俺の真正面に座り母さんにご飯を用意してもらい食べ始める。
家族で食べるご飯はやっぱりおいしいな
これが最後とか絶対に嫌だ
何より死にたくなんかない。
こうなったら生きるためにも他の探索者なんか全員殺してやる。
──────────────────────
モンスターが居ないと外に出れないのに出てしまっていたので修正しました。
ミスから始まるダンジョンマスター shiro @siro20060213
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ミスから始まるダンジョンマスターの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます