第12話 この世の真理を司る

「ハーヴェスト!ハーヴェスト!!」

扉をバンバンと叩きハーヴェストに呼びかける。

扉がガチャりと開くと、目の前にいたのは伸びに伸びきった青髪に包まれ痩せ細った人物。

これがハーヴェスト・レストラルだ。

「こいつはホワイト・パラドックス。パドって呼んでるんだ。お前の放棄した使命を取り戻すために使った。」

目の前にいるというのに容赦ないな、だがもう事情はわかった、前の説明とさっきの話、点と点が線で繋がった。

「なんだよ、、、、俺はもう何もしなくていいんだよ」

するとクロは3枚の資料をホチキスで挟んだ資料を顔の目の前に突きつけた。

「調査結果だ。お前とラパスの関係性について。」

資料にはこう書いてあった。

「ハーヴェスト・レストラル、レストラル家の血を引くものはラパスの血を引くものと考えられる。証拠は約2つ。

その1 ラパスを制御される力を持つことによる。ラパスを制御させるということはこの世の全てを握ると呼ばれるラパスの血を引くものの可能性が高いからだ。

その2 両親の行方不明について。ハーヴェスト・レストラルとクルゴー・レストラルの両親である2人は死体と死因が明らかになっていない。しかも実の子であるハーヴェストとクルゴーも名を覚えていないことにより、記憶の改ざんが可能な能力を要していることが考えられる。市役所の資料などは焼けて無くなり、証拠が全てなくなる状況を見ると記憶の改ざんは特定のことに絞ることが可能と見られる。」

「この資料を見てもらえばわかる通りお前は特別な存在でありこの世に存在する唯一のラパスの血を引く存在なのんだよ!!弟の仇を打つんだろ!?」

「あぁ、わかったよ」

やけにあっさりと了承した。長引くかと思ったが、所要時間は約4秒だった。

「えっ!?今まで1年も拒んできたのになぜ急に!?」

「そいつだ。ホワイト・パラドックスだっけ?そいつからは何かしらの可能性を感じる。前まではお前と俺だけだった。サイコアクスの気配は無くなり、ラインハルトは話を聞いてくれなくなるほど喧嘩をした。希望がなかったんだが、そこのホワイト・パラドックスを合わせた3人なら行ける気がしたんだ。」

やけによく喋る、この瞬間を待っていて台本を用意していたかのように。

「この時が来たんだ。やっとクルゴーの復讐ができる。」

ハーヴェストからは殺意は感じられないがとてつもない憎悪が感じられた。恨みの大きさはそこを見せなかった。

そこから約2週間。髪を切り金髪に染めて短髪にしたハーヴェストと語り合い、友と呼べる地点まで到達し今に至る。


「助かったぞ、、、ハーヴェスト。」

ハーヴェストは手からPANDORABOXを生み出し、クロとパドを瞬時に回復させた。

「流石GODSoulだ、力が違う。」

「今はそんな冗談を言っている場合ではないだろ。」

俺らが先にすべきことはルミナスの指輪を手に入れることだ。

1年するとこの力は消える。クロはこの超人的な力。ハーヴェストはGODSoulの力だ。

俺の能力はクロの血が入り手に入れた能力だからクロの能力さえ守り抜けば俺の能力は必然的に受け継がれたままなんだ。

ハーヴェストの力はって?俺はクロの単なる適合者だ。ルミナスの指輪の力をふたつに無理やり分裂させるための捨て身の体。ルミナスの指輪の持続能力を体に染めてその血をハーヴェストに流し込む。そうすると俺の力はクロの持続力が入り、俺の持続力はハーヴェストに入る。3人とも能力を失わずに済み、普通は限界でも2人しか分裂させられない能力を例外により無理やり3つに分裂させることが可能になる。

この発想はハーヴェストだ。

「よくその考えにたどり着いたな、まるでこの世を司る神のようだ。」

「変なことを言うな、恐らくだが両親の記憶が体に刻まれていたんだ。その発想を貰ったって所かな。」

「そろそろいいか」

俺たちは本当の目標であるロンドンに向かう準備をしていたのだ。

ハーヴェストと待ち合わせ途中、例外であるデッドオアダイが乱入したが、大きな損害は出ずに済んだ。

「ここからはお前らの仕事だぞ」

ハーヴェストはクロと俺に全てを投げる。

「Starry jet!!!!!!!!!!!!」

海の水が二つに裂け、道のようなものができた。

「よし、行くぞ」

Starry jetの唯一の弱点を言えば、力を持続しとかないと道がふさがってしまうことだ。

だがこれでいいのだ、船を使い体力を使う訳には行かない。

かと言って船を修理して進むほどの時間は無い。

だからこの海を割り進む選択をしたのだ。


クロ、パド、ハーヴェストが出発して海を歩いている状況、出発から1時間が経過した頃。日本から1人の人物が歩き出した。

「助かるよ、、帰ってきたと思ったらもう出発してんだからよ、この道、使わせてもらうぜ。」


1番最悪な事態。


敵の尾行が、怒ってしまったのだ。

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WHITE PARADOX 武河原 黒露樹 @otakubros85

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