私は午後七時に精進料理「肉抜きビーフシチュー」を作った

隅田 天美

私は午後七時に精進料理「肉抜きビーフシチュー」を作った

 私は毎年、以前参禅したお寺の大掃除に参加する。


 今年は社務所などが異動して少し混乱もあったが、無事に掃除を終えた。


 そうすると、お寺側が精進カレーを用意してくれて、それを食べる。


 とても、美味しい。



 精進料理と聞くと、敷居の高いイメージがあるかも知れない。


 だが、おでんのがんもどきは、昔の僧侶が雁(鴨肉)の味が忘れられずに作ったのが始まりだ。(だから、「がんもどき」なのだ)


 私が高校生時代に宿泊した高野山では見た目もずばり「ウナギもどき」があり、これが美味かった。


 また、密教の聖地比叡山の最奥で永遠の瞑想をしていると言われる空海の食事にも洋風の精進料理が運ばれるという。



 そこで思った。


『ビーフシチューもいけるんじゃね? 家に素はあるし』


 意味不明の憶測で実行するのが私の恐ろしいところであり、こんにゃくと味付け油揚げを帰宅時に買った。


 帰宅後、家にある根菜類、つまり玉ねぎ、じゃがいも、人参、大根などを大なべに入れ、買ってきたこんにゃく、油揚げも全部入れる。


 そして、なんだかんだで煮た。


 このまま、醤油や出汁で煮れば筑前煮みたいだろう。(鶏肉がないぞ)


 そこにぶち込んだのが『ビーフシチューの素』で溶かして完成。



 では、皿に盛り、実食である。


 まずは、シチューを啜る。


 うん、ビーフシチューみたい。(そりゃ、素を使っているからねぇ)


 次に具材。


 ジャガイモはほっこり崩れる、人参も生だとあんなに硬いのに火を通すと甘く柔らかい(ツンデレ野菜)、玉ねぎは甘くとろける。


 こんにゃくはしこしこ、油揚げは独特の歯ごたえだ。


 問題は、大根だ。


 茶色に染まった大根を食べる。


「!!!」


 美味い!


 大根特有の苦みが消えて歯で噛むと甘い大根特有の汁とビーフシチューの酸味が融和して独特の味になる。


 違和感なし。


 大根と知らずに食べたら、「こういう野菜もあるのか?」と思うぐらい。



 みなさんも、お試しを。

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私は午後七時に精進料理「肉抜きビーフシチュー」を作った 隅田 天美 @sumida-amami

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