ミチシルベ
@mituba-328
第1話 最悪な1日
命というものにはライフステージというものがある。それは、幼年期、少年期、青年期、壮年期、中年期、高齢期とあり誰もが通って生きて生く。その中で一番己にとって記憶に残る時期は青年期であろう。そして、青年期の中で特に高校生活の三年間の話が大人になってから酒の席で花を咲かせる話題となるものなのだ。さらに、高校生となる前の子供はハッピーで最高な高校生活を夢見るものなのだろう。部活動に精を出し、学校行事では笑い涙し、時には友達と喧嘩して、仲直りして友情を育む、後悔して喜んで泣いて笑って、と言うようなものを想像し心踊らせる。
けれど、そんなことを本気で夢に見、実現させるなんてことが全員に出来るわけなどない。現に今入学式の途中でありながら俺は早く高校生活を終わらせたいと考えている。時間などさっさと過ぎ去ってしまえばいい、そう願って仕方がないのだ。
ここは、〈私立翔命学園〉幼等部から高等部まである一貫校。そして、俺が幼少期から通っている学舎だ。今は長ーい入学式の最中、厳粛な空気が漂い漂わされている。そんな中周りに動きを合わせながらも、俺の頭の中は周りの人達とは違いひねくれて続けている。
「続いて学園長祝辞です。ーーー〜ー。」
長い理事長のお話が終わったかと思えば、次は学園長からのありがたいお言葉が始まってしまう。長ったらしく、少しの嫌味を感じてしまう、大人からのお祝いの言葉。この話を聞き流している奴は、必ず五万といるはずだ。というか、外進以外は一ヶ月程前の卒業式の際にもこのお二人のありがたいお話を聞いているのだ。仕方ないと言えるだろう。
というか、入学式と言うだけでこれからの学生生活が始まることを意味するのだ。最悪な1日として言わなくて、なんというのだろうか。
「そして、花が咲くのです。この世にーーー〜ー」
てか、本当に毎回思うけど学園長話長い。理事長の話が短く感じるほど長い。確か理事長は、六分くらい話していたはずだ。それなのに、今時計を確認すればそろそろ十分がたちそうになっている。
「我が校の栄光を、名を、全国に轟かすようなーーー〜ー〜」
辺りを見れば、頭がカクカクとしている者がチラホラと見える。チラリと先生陣まで見れば、そこでもコク、カク、と船を漕いでいる人物がいる。
うわぁ、と思う気持ちを心で渦めかせ、視線を前方へも巡らせれば最前列の席であたふたと動く教師が見える。顔に覚えがないので、教頭だろうと検討をつける。
教頭先生の必死に話を終わらせようとしている姿に、憐憫の気持ちまでを抱いてしまう。
「前年度は、我が学園の生徒に対して悲痛な事件が襲うこともありました。けれど、今苦痛や困難に耐えたー〜〜ーー」
いや本当に長すぎだろ!?
どこからそんなに話すことが湧き出てくるんだよ。
「ーー〜ー期待しております。最後になりますが、今日から卒業するまでの我が学園で過ごす約三年間が、皆さんにとって実り多きものとなり、いつの日か、酒の席などで笑いながら語り合う思い出として花開くことを心から願っております。以上をもちまして、私からの式辞とさせていただきます。本日は、誠におめでとうございます。」
愚痴を脳内に巡らせていれば学園長の話がやっと終わった。一体何分かかったのかと、時計を確認すれば針は会話が始まってから40分程進んでいた。
いやっ長ぇよ!?遅くても十五分程で終わらせろよ!?というかよく話せたなッ!?てか、もう遅れるなら遅れるで、パイプ椅子に座って尻は痛くても足は痛くねぇから二、三時間くらいもっと話せよ!?
呆れて、疲れすぎて、一周回って笑えるようにしろよ!?
ていうか、話してる内容も中身は中学と違って結構ちゃんとしていたのだからもっと話してていいよ!?
……いや、良くないか
(これが、退屈すぎておかしくなっている人である。)
▶◆◀数十分後▶◆◀︎
「以上で、入学式を終わりたいと思います。新入生退場、後方真ん中の扉より新入生が退場致します。暖かい拍手をお願いいたします。」
数十分後たち、入学式がやっと終わった。にしても、生徒代表挨拶の生徒会長本当に面白かったな。なんだよ冒頭の『学園長のありがたいお話を沢山聞きすぎて勉強をし過ぎてしまった為、教頭先生よりアンタ達!?休憩をちゃんと取りなさいよ!優秀ねぇ!今入学式よ!?とお叱りを受けてしまいましたので、リハーサルよりもさらに簡潔に挨拶をさせていただきたいと思います。ちなみに、元は六分、リハーサル時点で、四分に手直しをしております。では今回は、二分切り目指しております。お聞きください。』
多分というか、絶対あのセリフは教頭先生が言ったものではないと確信が持ててしまうが見逃しておこう。だって、ねぇ?教頭先生の名前が出た途端教頭先生肩を跳ねさせてたんだよ?それに、めっちゃ焦ってたし(笑)
入学式を終えて、式場となっている体育館から移動して教室に入る。入学初日であるので席は、あかさたな順に並んでいる。俺の席は苗字的に端の列では無いので、端の列に席がある昔馴染みの席に座る。
「おい!?」
「はぁ、」
はぁ、なんだよ今から担任が来るまでゆっくりしようとしているのに声かけるなよ。
「いや、くつろごうとするな!?」
「別にいいだろ、まだ担任も来ていないし」
「いや、そこ俺の席」
「別にいいだろ」
「良いわけないが?????」
俺が座ったのは、幼等部の頃からの知り合いである
「で、お前はこの後何か予定ある?」
「特に何も、ホームルーム終わったら寮に帰るつもり。」
そういうお前はと社交辞令で聞き返せば、『部活』だとこたえる。
「大変だなバレー部は」
「まぁ、1番大変なのは先輩達だけどな」
「あっそ、」
氷眞がなんだか勝手に面倒くさくなっていたので、素っ気なく返事をすれば文句を言ってくる。
しばらく、ぎゃあぎゃあと赤ん坊にうるさくするので少し構ってあげていれば、数分後急に部屋が静かになる。入口の方を見れば担任がいたので、席に戻り着席する。
「今からホームルームを五分から十分行います。皆さんもさっさと帰りたいでしょうから、速やかに終わるよう協力してください。」
全員が席に座ったのを確認したあと、担任が発した最初の一言はこれであった。何故だか、似たような雰囲気の誰かが頭に浮かんでしまう。そいつの顔がちょっと憎たらしくて、顔を顰めてしまう。
が、
つねに、そいつの顔など考えたくないので、頭を振り払う。
「まぁ、知らない奴の方が多いだろうからまずは自己紹介からしたいと思います。
萩野先生は、自由な自己紹介を終えると連絡事項を話し始めた。本当に無駄を嫌うのだなと、呆れると同士に感心してしまう。
「ーー〜、細かいことは後方掲示板に貼ってあるので、各自にて確認してください。以上、ホームルームを終わります。」
そんな萩野先生の言葉を合図に、退屈な日に区切りが着いた。
「仁志着いてくるよな?」
「嫌だよ。なんで俺が着いてか行かなきゃならないんだ。」
「まぁまぁまぁまぁ」
と、思いたかったと心中を荒れさせながら思っている。
さっさと帰ろうと荷物を整えていると、目の前に
「お前は部活があるんだろうが、俺に構わずさっさと行けうるさい先輩に怒られるぞ」
「部活が有るからだよ、仁志くん」
氷眞の「くん」付けに悪寒が走る。
「二度とその呼び方すんじゃねぇぞ!?」
「え、ひど。そんな必死にならなくても」
俺が蔑む目をしながら必死に拒否をすると、氷眞は( 'ω')エッ…というような顔をして固まってしまう。が、そんなことなどどうでもいい日々の行動が悪いのだ。
「アァ゛、もう!何だよ今日はいつも以上にめんどくさいな!?」
「え、ひど。泣くよ?俺、本当に泣くよ?」
「良いから、さっさと理由だけ言って諦めてどっかに行け!」
理由を聞いても何があろうがこいつの頼みは絶対に、何があろうと、死ぬとしても、聞かないが。
視界の端で「あぁ、酷い酷い!それでも俺の幼馴染!?」と喚く姿が、あまりにもうるさく感じたので、さっさと会話を終わらせるために理由を聞いてしまう。が、後にこのことを死ぬほど後悔することになる。
「いや、本当にさっきのは傷付いたんだけどなぁ。」
「じゃあな」
「すみません!」
「はぁ、で?何?」
理由よりも先に文句を言うので、本当に帰ろうとすれば縋り付いて全力で止めて来る。流石に運動部には叶わないので、大人しく話を聞く体制に入れば氷魔は一息ついて話し出す。
「実はね、今日マネージャーがいなくてさ」
「そうか、じゃあな」
「いや、ちょと待て待て待て!話は最後まで聞け!」
目も当てられないほど醜い氷魔が言うには、マネージャーが今日は次の合宿準備にかかりきりになるためスポドリの準備などの仕事を出来ないらしい。
「いやそれ、俺に関係ないだろ」
「お前は、こんなにイケメンで、かっこよくて、スポーツもできて、頭も良くて、お金もある。超超超優良物件過ぎる俺を!お前は!見捨てれるというのか!?」
「自分で言うか、それ。」
正論を言って断ろうとするが、諦め悪く氷眞は俺いい男アピール(笑)をして、引き止めてくる。これを引き止めだと受け止めて良いものかとも思うが。
「事実だからね!!!」
「お前年々悠成くん成分の感染酷くなってないか……。」
「えぇっ……?」
「いやそれは嫌なのかよッ」
こいつに突っ込んでいると身が持たない。さっさと離れたいと思って入れば、最悪な悪魔の囁きが脳に響く。
「おっやぁ、そのままじゃ遅刻する気なのかなぁ〜?氷眞〜?」
「ほっっっつんッとに最悪な1日だア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
「「うっさッ」」
「お前らのせいだッ!!!!!」
心の底から軽蔑してしまう声を聞こえたかと思えば、横からもう見たくないと常々思う顔が横から覗いた。
この顔を覗かせた、顔から滲み出るほど性格が悪い悪魔の名前は、松道 寛《しょうどう ひろし》。学校全体に先は小さくとも悪名と悪口が轟くほど、一部から嫌われている悪魔は、氷眞と同じバレー部に所属している。
顔が視界に移り、心の底から叫び声をあげれば、こいつらにだけは言われたくない正論をぶつけられてしまった。
本当に心から不服である。
「まぁまぁ、先に移動を済ませときましょうね」
「は?」
「あ、荷物まとめてくれてありがとう」
「これも迅速な移動のためですから」
「は?」
その声に自分の荷物を確認すると、机の両端にかけていた荷物を何故か寛が背負っていた。
「は?」
「ほいじゃあしゅっぱーつ!!」
「いぇーい!!!」
困惑していれば、そのまま俺は氷眞に引きづられて連れ去られてしまった。
「本当に最悪な一日だぁぁぁぁあ!」
「「あははははは!」」
心の底から嘆く。けれど俺の悲鳴は虚しくも、こいつらの笑い声のせいで無視をされてしまった。
ミチシルベ @mituba-328
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