第14話 イラク
施設の爆破装置がセットされ、和真と貴恵は脱出の準備を進めていた。しかし、すでに警備が強化され、彼らが退路を確保するのは簡単ではなかった。爆破のカウントダウンが始まり、時間は刻々と迫っていた。
「和真、爆破装置の準備は完了したわ。でも、どうやって脱出するの?」貴恵が焦りの色を浮かべて尋ねた。
和真は施設の設計図を頭の中で描き、慎重に周囲の状況を分析した。「脱出経路は裏門からだ。ただし、警備が厳重だから、慎重に行動する必要がある」
二人は足音を忍ばせながら、施設内を抜け出すために進んだ。途中、いくつかの警備員とすれ違い、何度も息を潜めて身を隠した。和真はその間に、貴恵に耳打ちした。
「爆破の前に、最後の一手が必要だ。イラクの情報を手に入れなければならない」
「イラク?どういうこと?」貴恵は驚いた。
和真は低い声で続けた。「アマルガム計画には、イラクにある一つの施設も関わっているんだ。メガがシリアで行っている兵器開発と同時に、イラクでも大規模な研究が進められている。この情報が重要なんだ」
「でも、今は脱出が最優先でしょう?後でその情報を追いかけることはできるわよ」
「いや、これを無視すれば、次に進んだときに必ずメガがさらに強力な兵器を作り出してしまう。イラクの施設で何が行われているかを解明しない限り、戦争を止める方法は見つからない」と和真は言った。
貴恵はその言葉に強い決意を感じ取った。「わかった、行こう」
二人は爆破装置がセットされた研究施設を背に、急ぎながらも慎重にイラクの情報を集める手段を探り始めた。和真は、自分のサイバーセキュリティのスキルを使い、メガのネットワーク内からイラクの施設に関するデータを抽出しようと試みた。
「うまくいけば、このネットワークからイラクの施設へのアクセスコードが手に入るはずだ」と和真は言い、貴恵はその間に外部の警備員からの視線を遮るために身を隠していた。
数分後、和真が苦心してハッキングを行い、ついにイラクの施設への情報を手に入れた。「これだ、イラクの施設。場所はバグダッド近郊の廃工場だ」
「これが、メガの次のターゲット?」貴恵が尋ねた。
和真はうなずいた。「イラクでも、アマルガムの研究が進んでいる。シリアでの計画を止めても、イラクでの研究が続けば、世界に対する脅威は消えない」
「だったら、今すぐにイラクに向かうべきね」と貴恵は言った。
「その通りだ。だが、爆破まであとわずか。今すぐに施設を離れ、脱出するんだ」
二人は急いで施設から脱出し、爆破の直前に安全圏にたどり着くことに成功した。施設が爆発する瞬間を遠くから見守りながら、和真は深いため息をついた。
「成功したけど、これで終わりじゃない」と和真はつぶやいた。
貴恵はその言葉を受け、頷いた。「次はイラク。私たちが止めなければ、メガの兵器は世界を変えてしまう」
その後、二人は迅速に移動を開始し、イラクに向かうための手配を進めた。イラクのバグダッド近郊にある廃工場は、かつての工業地帯が廃墟となり、今は秘密裏にメガの研究が行われている場所だった。その情報をもとに、和真と貴恵は、新たな任務に立ち向かう準備を整えていた。
時間は刻々と過ぎ、メガの陰謀を阻止するためには、さらに大胆な行動が求められた。
星降る湘南の約束 あらすじも含めて9万字以上12万字以下 短編連作、オムニバスOK 鷹山トシキ @1982
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