第5話
…カランコロン
「ギルさーん、いるー?」
「ルークか?キッチンの方にきてくれ!」
「手伝いにきたぜ!今日は胃薬持ってきたからデザートの試食も付き合うぜ!」
胃薬らしい小さな壺を掲げながら入ってきたのは明るい茶髪で緑の目をした青年。水琴と同じぐらいの身長だろうか。
「あれ?先客?」
「さっき外道で寝てたからここに運んできた」
「外道で寝てた?今日はヴァンガルの襲来日だってのに?」
訝しげにこちらを見てくる。
そういえばギルさんと呼ばれる男も討伐がどうのこうのといっていたような…
「それよりこれ!食べてみてくれ!俺でも食える生クリームができたところだ!」
「え?ギルさんでも食べれるってことは甘くないの?」
「まあ、食べてみろって」
すでにドヤ顔気味なギルは青年にホイップクリームを山盛りすくったスプーンを手渡す。
「ん!?甘いけどあまくない!ちょうどいい!」
前に食べたのと全く違う!と目をキラキラと輝かせた。
「そうだろ?この嬢ちゃんに作り方を教わったんだ」
ドヤ顔気味だったギルさんの顔が完全なドヤ顔になる。
「おまえ、すごいな!あの甘ったるいクリームがこうなるとは…」
先程までスプーンに向けられていた青年のキラキラとした目がこちらを向く。
「ギルさん!これならきっと美味しいデザートができるよ!」
「またいろいろと試作しないとな!ルーク、また食べてくれるか?」
「もちろん!」
どうやらこのルークという青年は今までもデザート作りを手伝だってきたようだ。少しホッとしてるようにみえるのは、あの甘すぎるホットケーキを食べなくて済むからだろうか…。
「今からさっそくデザートの試作を…と言いたいところだが、今日は討伐用のメシを作らんといかんからな。先にそっちからだ。」
そいえばさっきから討伐だの、何かの襲来だの言ってたな…
「今回もサンドイッチだ。そうだ、時間あるなら嬢ちゃんも手伝ってくれねぇか?」
「ええ、いいですよ」
死んだのだ、時間なら有り余るくらいにある。しかもここで放り出されても何をどうすればいいかも分からない。ここは手伝いながらいろいろ聞くのがいいだろう、そんな甘い考えで手伝うことにしたが、このあと数時間に続きサンドウィッチを作り続ける羽目になるとは…。
《仮》趣味、異世界転生。 加密列 @chamomile-chamomile
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