険悪親子は来世では幼馴染でした

ナカノシマピロシキ

娘は当たりがきつい

ピピピピッピピピピッ


「んぁ、?もうこんな時間か、、、」


はぁっとため息をついて時刻を再度確認する。

時刻は午前5時30分、家を出るまであと3時間ほど余裕があるが俺の朝は早い。


俺の名前は小野寺 涼真りょうま、34歳独身子持ちだ、子は17歳の娘で血のつながりがない。え?なんで血が繋がっていないのかだって?

あれは今でも忘れられない、20歳の頃俺は初めて結婚した。相手はバツイチ子持ちの21歳の方だったんだけど相手がまぁまぁな不倫をしてて子育てもろくにしなかった。だから離婚し俺がその子を引き取ってその子の親になったってことよ

偉いだろ?なぁそうだよな?


「んぁー!弁当作るか!」


そう言って背筋を伸ばしながらキッチンへ向かった、最初はなれなかった弁当作りだけど今となってはすっかり上達しちゃって、卵焼きなんか回らん寿司屋で出てくる輝きをしてやがるぜ!


「♪〜〜〜」


鼻歌を奏でながら焼いたら炒めたり盛り付けたりしていく、弁当ってのはいろどりが大切なんだよーわかるかね諸君


「うし、これで未來みれいの分は」


今日の弁当はロコモコ丼!oh...なんという完成度、ちょうど良い焼き加減のハンバーグの上にまるで宝石のように輝く目玉焼き!我ながらアッパレであります隊長!


「ふぁーねむー」


と、そんな感じで自画自賛してると階段の方から声が聞こえてきた


「お、未來、おはよう!」


「、、、、おは」


はいー嫌われてるねーこれ、、、、、、、、、

おっと!娘に嫌われていると朝から認識させられるショックで紹介をわすれてたぜ!彼女こそ俺の娘であり悩みの種、小野寺 未來、見た目は黒髪のセミロングで身長は168センチほど。あ、ちなみに俺は174センチ。胸はまぁ普通よりかはでかいんじゃないかぐらいでお尻も普通ぐらい。風の噂によれば学校では清楚系として扱われているらしく、クラスの中ではトップを争うほど美女らしい。


「、、、今日は早いんだな!そうだ、今日はクリスマスだし一緒にケーキでも」


「あのさ、私が朝不機嫌になるの知ってるでしょ?もういい?髪の毛もセットしたいし歯も磨いて着替えもしたいから、これ以上話しかけないでよ」


「、、、そーだな、あ、でも弁当は持っていけy」


「もううるさいな!!弁当!?いらないし!購買とかで買うから!ほんと!娘の気持ちぐらいわかってよ!それでも父親かよ!だから不倫されんだよ!!」


「、、、、、ごめん」


「はぁ、もう朝からだる」


これが俺たちの日常だ、娘が高校生になってからずっとこの調子。ただ俺にも責任がある、20歳にして子供を育てるという壁にぶち当たった俺は育てるのに必死でなにもしてやれなかった。遊園地とかに連れてった時も他の子が母親に抱っこされてるのをみて羨ましそうにしてたっけ、、、


まぁ朝からこんなネガティブに考える必要もない、そー思って俺は自分のカバンに弁当と仕事に必要な書類を持って出る準備をする。リーマンの朝は早いのだ。


「じゃあ未來、行ってくるからな」


「、、、」


「未來、挨拶はしてくれ、人として常識だし、親子なんだから」


「、、、いってら」


「ん、行ってきます!」


今月は12月、外も寒く上からコートも着てるんだがすごく冷えるな、、風が顔に当たり小石が軽くぶつかるような痛さが走る、それが冬特有の寒さだよなー、ふと歩きながら前のケーキ屋の看板を見る


クリスマスケーキ販売中


「あー、今日って24日かー、仕事終わりスーパー寄って未來に何か作ってやるか」


そう独り言を呟き駅に駆け足で向かっていった


「おはようございますー!」


「おー小野寺ーあいもかわらず元気だな」


「いやーいつもの俺だよ」


会社に着いてまずやることをみんなへ挨拶、これが基本なのよ。毎日同僚から元気と言われるが俺自身そんなに元気じゃない、ただまぁ元気な姿を見せないと上司から元気が足らん!って言って怒られるしなぁ


「先輩、おはようございます」


「あ、花蓮さん《かれん》おはよう」


「先輩、さん付け辞めてくださいって言ってるじゃないですか」


「いやーでも花蓮さんなんていうか俺より大人っぽいし」


自分の席に着くと後輩の花蓮さんが挨拶しにきてくれた。花蓮さんはなんというか女の子なんだけどすごくボーイッシュ、黒髪のウルフカットで俺より身長は少し低い171センチあるらしい、胸はというとまぁ普通ぐらいで太ももはすこしむちっとしている、なんでも学生時代はバレー部だったとか、そーいや学生時代はバレー女子と付き合いたいとか思ってたなぁ


「先輩今日はクリスマスイブですよ?何か予定はあるんですか?ないなら僕と」


「あーごめん花蓮さん、今日は娘にチキンステーキを焼いてあげようとおもってさ、未來はずっと小さい頃からチキンステーキが大好きだったから」


「、、、なら仕方ないですね!それならまた今度ご飯でもどうですか?良いお店見つけたんですイタリアンなんですけど」


「あーそうだね!最近パスタとか食べてなかったし、最高かも」


「なら良かったです!絶対予定空けといてくださいね!」


「はは!分かったよ!お誘いありがとね!」


「いえいえ!それじゃあ私は仕事戻りますね!」


「うん!頑張って!」


「、、、、ほんと、邪魔だなぁあの


ん?今花蓮さん何か言ったかな?全然聞き取れなかった、、、歳か?いやだなぁ歳をとるってのは


「おーい!小野寺!ちょっとこっちに来い!」


「あ、はい!」


まさかのみんなの前で部長からの呼び出し、これは嫌な予感が、、


「お前、この資料最悪だぞ」


「はい、すみません」


「謝って済む問題じゃねぇんだよ!あぁ!?これ期限明日までだぞ!どーしてくれんだよ!」


「それはもちろん今日中に」


「おう、徹夜してでも終わらせろ」


「はい!」


これはやばいぞぉ、、、、





「はぁ、はぁ、はぁ、、、」


「くそ、、あともうちょっと、、、はぁ、」


い、今ありのまま起こった事を話すぜ!!

現在時刻は9時52分!本来俺は6時には上がれるはずだったんだが上司に指摘された資料を直していた!しかしまともにやれば5時間は最低でもかかる、だから全部適当に終わらせてきたぜ!おわったぁ!!そして俺は10時半に閉まるスーパーに全力で急いで走っている!なんとしてでも鶏肉を買わねば!


「ありがとうございましたー」


「あ、レシートいらないです」


「はーい」


なんとか鶏もも肉購入完了。ミッションコンプリートRTB。


そして現在時刻は10時12分。未來はもう帰っているだろうか?早くチキンステーキを作ってやらねば。


「ただいまー」


しばらく歩いて家まで帰ってきた、部屋に明かりがついていないということは未來はまだ帰ってきていないということだろう。またか、とおもいつつ俺は早速チキンステーキを作っていた



時刻は11時半ガチャっと扉が空いたのでまさかと思い玄関に向かうとそこには未來の姿があった、髪は少しぼさっとしていて息も切れていた


「おい未來、今何時だと思ってるんだよ」


「うるさいなぁ、もう、ほっといてよ」


「んなこと出来るわけないだろ、ご飯は?」


「食べてきた」


「せっかくクリスマスイブだからチキンステーキ作ったんだ、一緒に食べよう」


「いらない」


「そーいうな、ほら早く座っt」


「もういいって!ほっといてよ!」


「、、、あのな」


「いつもいつもいつも!なんで私の気持ちわからないの!?こんなことならお母さんについていけば良かった!」


「そんなこというな!!!」


「ッ!?」


ダメだ俺、抑えろ


「いつもいつもクソ親父だのダメなやつだの好き勝手言いやがって!!なんで俺だけこんな目に合わなければなんないんだよ!」


おい、やめろ、もうそれ以上


「お母さんのところに行きたかった?ふざけんじゃねぇ!お前のここまで育てたのは誰なんだよ!俺がどんな思いで夢を諦めてこんなつまんない仕事選んだと思ってる!どんな気持ちでお前を育ててきたと思ってる!?」


やめろよ!最愛の娘をそんなに責めるな!


「もうお前なんかうんざりなんだよ!」


「.....」


「、、、すまない、こんなこというつもりじゃ」


「、、うるさい」


「すまない未來、今日仕事で色々とあったんだ、ほんとにすまない」


「もういい」


「み、未來怒ってるなら本当に」


「もういいって!ほっといて!」


「未來、、、」


「お父さんだって、、私のことなんも理解してない、もう部屋行くから」


「あ、、、」


最悪だ、今日の仕事のストレスもあいまって言いすぎてしまった。これ以上話しかけても聞く耳持って来れなさそうだな、、、また明日謝ろう


リビングに戻ると2枚の皿とその上にチキンステーキが乗っていた、今の状況とは真反対にキラキラと輝いている。


「、、、食うか」


そういって俺はナイフとフォークを手にとってチキンステーキを一口サイズにわけ口へ運んでいく


「ん、うまいうまい、意外とやるなぁ俺」


そうしてリビングの光に照らされて1人で寂しく肉を食べるのだった


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険悪親子は来世では幼馴染でした ナカノシマピロシキ @hirokichipirori

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