第1章 異世界転生した陰キャオタク高校生、少年と出会って、”性格改革”を始める。

第1話 『こんにちは』の挨拶

 階段を上がり切ると、見えたのは真っ白い空間だった。

 ええと——と柊は思った。少し嫌な予感がした。ここは2階のはずだから、文学室3号棟とかがあるはずだ。3号棟は——だから——ここを右に回ったところだ。…………あれ? つくりが違うな、別なところについてしまったのかな。

 左へ向いて進んで行くと、さっきのところへついた。そりゃ当然だ、ここは地球で常識は適用されているのだから。ナントカの原理は成り立つものばかりである。

 柊は、どうしよどうしよと悩み始めた。…………ここは、どこだ? 迷子まよいごになった自分を俯瞰して見ているらしくて、天井から見下ろした自分がやけにちっこく見えた。

 そうだ、夢なんだ、と柊は口にした。「夢なんだ、夢なんだよ! 夢なら異世界でもなんでもあるだろ!」

 なかば自棄やけになりながらも、柊は叫んだ。適当に選んだドアを開けると真っ白い空間が身を包んだ。

 

「ここは、どこ?」


 目が回って、道端に倒れた。アスファルトのコンコンという質感がして、やがては止んだ。

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異世界銭湯 弓道の風呂場 第1幕 孤独の湯 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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