三百円のイヤリング

厳寒

三百円のイヤリング

白鷺も首をすぼめる師走の田



行きがけにホームで朝陽とすれ違う



天高し縦横無尽に秋つばめ



孫生ひこばえの地から秋を照らす色



新しいコートを着た日の忘れ物



髪染めて切るのに一万かけるけど三百円のイヤリング買う



太陽を追いては枯れゆく一生が人間みたいな向日葵の花



海望む駅に旅人、自転車と



金の雨注ぎ痩せゆく大銀杏



金曜のジャズと夕暮れ、人波、ビール



人々を吐き出しはじめる中心街 湿気った夜を肺いっぱいに



いろいろの色の光が喧嘩する聖夜間近のアーケード街



パチリと立てて真白い防犯灯



シャッターの下りてタバコの自販機ひとつ


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三百円のイヤリング 厳寒 @tres_froid

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