どの短歌も驚くほど韻律が滑らかである。さらに、短歌全体のバランス感覚が優れている。そして、最大の魅力は、その小気味の良い啖呵と、繊細な言葉で紡がれた、きらきらしい悪夢のような世界観にある。万華鏡のように狂い咲くその短歌のめくるめく眩しさに、読者は圧倒されることだろう。令和に彗星の如く現れたこの天才歌人について、短歌界は諸手を挙げて言祝ぐべきだろう。