宇宙にある料理店の話

蒼白な霧

第1話

ここは宇宙料理店 蠍

いろんな星で獲れた食材や珍しい物と引き換えにとても美味しい料理を出してくれるお店

今日は、どんな料理が見れるだろう


「やはり、宇宙は広いからあまりお客さんがきませんね、それも静かでいいものですが」

蠍の一人しかいない料理人である柳がそう呟いた

そんなふうに独り言をたまに呟きながら、宙に浮かびながら煌めく星々を見ているとお客さんが来ているのが見えた

慌てて準備して柳はお客さんを迎えた


「いらっしゃいませ、ようこそ宇宙料理店 蠍へ」

そう言いお客さんを椅子に座らせた


「ここにくるのは初めてなんだが、この店の仕様について教えてくれないか」

お客さんではあるバックを持った男がそう言った


「わかりました、それでは店の仕様について説明します。ここは宇宙料理店 蠍 様々な星で獲れた食材を材料とし料理を作り、お客さんに振る舞っています。料理に対する対価はご自身が持っている星で獲れた食材や珍しい物を貰っております。もし、対価がない場合はまた、来店したときに貰います。但し、二回目以降はこの店の従業員となっていただきますので」

柳はバックのお客さんにそうこの店の仕様を説明した


「だいたいはわかったありがとう。それじゃぁ、先に対価になる物を渡しておくよ」

そう言って、バックのお客さんは少しぼんやりと光る砂の様な物を入れた容器を出してきた

「これはまだ、名前もない砂の星から獲ってきた物で、食べれるし味はほんのり甘いから食材に適しているはずだ、これでいいか?」


「なるほどそれなら十分、対価となりえるこの宇宙では甘味はあんまりとれないからな」


「それで、どんなのを作ってくれるんだい?」


「これをつかってスイーツでも作ります。けどあくまで甘味はデザートだからいまからオムライスを作るよ」


「オムライスを食べれるのか、卵なんて見かけないからない物と思っていたよ」


「確かに卵は貴重ですからね、でもいまから使う卵は割と簡単に手に入る黒鳥の卵を使う」

そういいながら柳はいつの間にか真っ黒な卵を取り出して割って溶いていた


「この黒鳥の卵はブラックホールとも見間違えそうな真っ黒な星に住んでいる鳥のもので、木の上ではなく地面に埋めているんだよ」

柳は溶いた卵を焼きながら素早く肉を切って少し焼いてから白米とケチャップを入れ混ぜ炒めている


「そうなんだ、だからいくら木の上を探しても見つからないわけだ」


「私に関してはいろんな食材を集めるために上も下も全方向くまなく探索していたから見つけれたっていうのもありますけどね」


「そんな話たかが客の俺に話していいのか?」


「いいんですよ、ただでさえこの世界は広いのですから情報共有はしておきませんと、できましたよ黒鳥の卵を使ったオムライスです。デザートもありますからね」

柳はそういいながらバックのお客さんにオムライスを出した


「おぉ、ものすごく美味しそうだ、それではいただきます」

バックのお客さんはスプーンで掬い食べた


「すごい美味しい、特に卵が鶏のとは違う味を出していてものすごくいい、」

バックのお客さんはオムライスを賞賛しながら食べ進めた


「やっぱり、あった場所が地中なので、湿度や温度が違うのでそこも関係しているのでしょうね」

柳がそうんなことを話しているとバックのお客さんはもう食べ終えた様子だった


「ふぅ、美味かった」

バックのお客さんは満足そうだった


「お客さんまだ、デザートがありますよ」

といって柳が出したのはプリンだった

プリンは少し硬めで、バックのお客さんから貰ったのを振りかけてブリュレしてあった


「プリンか、美味しそうだな」

とバックのお客さんは言うとプリンをすぐに食べ始めた


「おぉ、このプリンも美味い、最近のはやわいやつが多いがこれは硬めでいいな」

そうやってバックのお客さんは味を堪能しながら全て食べきった


「今回は本当にありがとう、ものすごく美味かった」

とバックのお客さんが言った


「お気に召したのならなによりです。宇宙料理店 蠍は蠍座の下にあることがほとんどなので、またお越しいただきたいという場合は蠍座を目印とするといいでしょう」

柳はバックほお客さんにそう言った

そしてその後はバックのお客さんが見えなくなるまで見送った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宇宙にある料理店の話 蒼白な霧 @mekiti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画