創作は自由な方がいい!

田中子樹@あ・まん■長編4作品同時更新中

頭に常識というキャップをすると思考が止まる


 創作家たちは常に脳内で妄想を巡らせ、世界やキャラクターを描き、そこに色をつけていきます。


 その過程で、自分が思い描くイメージを読者の脳内に鮮明に届けようと、より「現実」を細かく描写しようと努力します。しかし、それに囚われすぎると、作品の鮮やかさが失われてしまうこともあります。


 創作は無限大です。時には頭のネジを数本外すくらいの柔軟さが、ぶっ飛んだオリジナルの作品を生む助けになります。


 ただし、WEB小説の世界では少し状況が異なります。


 私のイメージでは、WEB小説投稿サイトで活動している作者一人ひとりは、まるで下町の従業員が5人にも満たない小さな工場を経営しているようなものだと感じます。


 例えば、ネジを作る工場だとします。精巧で高品質なネジを作れたとしても、それを買うのは馴染みの顧客だけ。どれほど優れた製品でも、世に広まらなければ意味がありません。


 ランキング上位にいる作者たちは、工場で働く職人であるだけでなく、優れた営業マンでもあります。


 彼らは自分の製品(本文)を、あの手この手で読者(顧客)にアピールします。そうして知名度を上げ、やがて積極的に営業しなくても、読者が向こうからやってくる状態を作り上げています。


 本文が製品だとすれば、タイトルやキャッチコピー、あらすじはセールストークです。


 これだけで読者を増やせる場合もありますが、それは運に左右される部分が大きいのも事実です。確率を上げるにはSNSを活用したり、複数の投稿サイトに投稿するなど、とにかく読者の目に触れる機会を増やす努力が必要です。


 しかし、売れる製品ができて工場が大きくなったとしても、それが必ずしも最高品質というわけではありません。読者が手に取りやすい「流行りもの」が出来上がることが多いのです。


 すでに書籍化されている作家さんのタイトルが短くてもランキング上位にいる理由は、作品内容の差ではなく、その作家が既に「大きな工場」を持っているからです。


 ここで問われるのは、自分の立ち位置を踏まえて営業努力をするか、それとも品質に徹底的にこだわり続けるかという選択です。どちらを選ぶかは人それぞれですが、「読まれなくてモヤモヤしている」という人がいるなら、先ほどの方法を試してみる価値はあると思います。


 もちろん、これですべてがうまくいくわけではありませんが、成功の確率を上げることはできるでしょう。


 話は変わりますが、ブルーロックという作品に「御影玲王」という選手が登場します。彼は、各選手の特技を99%までコピーできる能力を持っています(作中では「カメレオン能力」と呼ばれます)。しかし、彼自身の能力を100%発揮することはできず、どこか突き抜けられない苦悩を抱えています。


 WEB小説の世界も、これと似た部分があるように思います。


 流行りものの怖いところは「読者の目が肥える」ことにあります。似たような内容だとどうしても刺激が足りず、新しいものを欲するようになります。


 作品に自分らしさ(オリジナル)を投影するためには、自分の殻を壊し続ける勇気が必要です。その挑戦を続けることで、唯一無二の創作を生み出す道が開けるのではないでしょうか。



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