第4話
六月のはじめ、水曜日の放課後でした。わたしは華道の稽古に向かいました。毎週水曜の一時間が、稽古の時間だったのです。
先生は品の良い初老の女性でした。若い娘が感心と、わたしのことを、気に入ってよく面倒をみてくれました。「一つのことに集中なさい。はさみを持てば、切ることだけを考えなさい。集中することこそ、人の最も美しい姿です。」
先生はいつもそう言っていました。
その日、一時間の稽古を終えました。わたしは、岡田の家に立ち寄り、火をつけて帰りました。
着火の瞬間、わたしは集中していました。ライターをもって、火をつけることだけを考えました。しんと精神が張り詰めていました。しかし心は落ち着いていました。集中していたからです。
あの小さな火は、風にあおられて消えることなく、無事に大きく育ってくれるだろうか。雨が降ったりしないだろうか。やるだけやって、あとは運頼み。これが、いちばん気分が良いのです。スカートがめくれ上がりました。しかし、気にせずそのまま走り続けました。わたしは気分が良かったのです。
翌日、岡田は学校に来ませんでした。
ブスの夢 古成おこな @furunari
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