第十二章 未来に向けて
数週間が過ぎ、春から初夏へと季節が移り変わる頃、拓真と結衣の関係はさらに自然で穏やかなものになっていた。学校帰りの道を並んで歩くのが、いつの間にか二人の習慣になっていた。
「ねえ、拓真くん。私たち、こうやって毎日話してるけど、これから先のことって、考えたことある?」結衣がふと問いかけた。
「これから先?」拓真は少し驚いたような顔をしながらも、真剣に答えた。「正直に言うと、結衣さんとずっと一緒にいたいって思ってる。それがどんな形であれ、これからも君と一緒にいろいろなことを経験していきたい。」
結衣はその言葉を聞いて、一瞬言葉を失ったが、すぐに微笑みながら答えた。「それって、すごく嬉しい。私も同じ気持ちだよ。拓真くんといると、なんだか安心できるし、これからも一緒にいろんなことをしたい。」
「たとえば、どんなことをしてみたい?」拓真が尋ねると、結衣は少し考えてから答えた。
「そうだなぁ。夏には一緒に海に行きたいし、秋には紅葉を見に行きたい。冬にはスキーとかもいいかもね。あとは、ずっと先の話だけど、大学とか大人になったときも、こうやって一緒にいられたらいいなって。」
「いいね。そのどれもが楽しそうだし、僕も全部やりたい。ずっと先のことまで考えてくれるのも嬉しいよ。」拓真は嬉しそうに答えた。
その後、二人はこれからの計画や夢について、他愛もない話を続けた。時には笑い合い、時には少し真剣な表情で未来のことを語り合った。
「これからも、ずっと一緒にいようね。」結衣が歩きながらそう呟くと、拓真は小さく「もちろんだよ。」と答えた。
二人の未来は、まだ不確定なことだらけだったが、互いに支え合いながら歩んでいくことだけは確かだった。彼らの心には、明るい希望と共に、揺るぎない絆が刻まれていた。
新しい一週間の始まり。いつものように教室に入った拓真は、隣の席の結衣に声をかけた。
「おはよう、結衣さん。」拓真の声は少し弾んでいた。
「おはよう、拓真くん。」結衣も柔らかな笑顔で返事をした。その笑顔を見るだけで、拓真の心は自然と温かくなった。
授業が始まり、先生の声が教室に響く中、ふと結衣がノートに小さく書いた文字を拓真に見せた。
「放課後、一緒に図書室に行かない?」
拓真は小さくうなずき、彼女の意図を感じ取りながら笑顔を返した。
放課後、図書室で二人は並んで座り、次のテスト勉強を始めたが、勉強だけではなく、未来の夢についても話し合った。
「拓真くん、大学ではどんなことを勉強したい?」結衣が尋ねた。
「僕は歴史や文化についてもっと深く学びたいんだ。結衣さんは?」拓真が聞き返す。
「私はね、ずっと興味があった心理学を勉強したいな。人の心の仕組みを知るのって面白そうだから。」結衣は目を輝かせて答えた。
「それ、結衣さんらしいね。きっと上手くいくと思う。」拓真は真剣な目で彼女に言った。
「ありがとう、拓真くん。お互いに頑張ろうね。」結衣が微笑んで答えた。
二人の会話は自然と未来の話に続き、そこにはお互いを支え合う気持ちが確かにあった。これから始まる新しい日々への期待と共に、彼らは隣の席から始まった特別な関係をさらに育んでいくことを誓った。
夕方、校門を一緒に出たとき、結衣がふと立ち止まった。
「ねえ、拓真くん。今日も一日楽しかったね。」彼女の声には穏やかな満足感がにじんでいた。
「うん、僕も。これからも、ずっとこんな日々を続けていきたい。」拓真が静かに答えると、結衣は優しく微笑んだ。
二人の新しい日々は、たくさんの可能性と希望で満ちていた。これからも隣の席で、そしてそれ以上の距離で、彼らは互いに支え合いながら成長していくのだろう。(終)
【ラブコメ】私に天使が舞い降りた! 森康雄 @YASU113
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