第十一章 デートの様子

 土曜日の朝、爽やかな青空が広がり、絶好のデート日和だった。拓真は緊張と期待を胸に、約束の時間より少し早めに〇〇公園の入り口に到着した。


「お待たせ!」結衣が元気よく声をかけてきた。白いワンピースに小さなカゴバッグを持った結衣の姿は、どこか特別な雰囲気を漂わせていた。


「いや、僕が早く来すぎただけだよ。結衣さん、すごく似合ってる。」拓真は少し照れくさそうに言った。


「ありがとう。拓真くんもカジュアルでいい感じだね。」結衣が微笑みながら答えた。


 二人は公園の中へと歩き始め、まずは広場の近くでシートを広げてピクニックの準備を始めた。お互いに持ち寄ったお弁当を並べると、結衣が驚いたように言った。


「わぁ、拓真くん、本当にお弁当作ったんだ!しかも、これめちゃくちゃきれいに詰めてあるね。」


「練習したんだ。味は保証できないけどね。」拓真が照れくさそうに言うと、結衣は一口食べて目を輝かせた。


「これ、すごく美味しいよ!拓真くん、意外と料理の才能あるんじゃない?」結衣が冗談っぽく言うと、拓真はほっとしたように笑った。


「それならよかった。結衣さんのお弁当もすごく美味しそうだね。いただきます!」拓真も結衣の手作り料理を一口食べて、「うん、これ最高!」と素直に感想を述べた。


 その後、二人はバラ園を散歩したり、公園内の小さな池でボートに乗ったりして、終始笑顔で過ごした。


「こうやってのんびりするの、いいね。」結衣が池の上で静かに言った。


「うん。結衣さんと一緒だから、もっと特別に感じるよ。」拓真が少し照れながら答えると、結衣は笑顔を浮かべた。


 デートの終わりには、二人とも互いへの思いがさらに深まっていることを感じていた。帰り道、結衣がふと立ち止まり、「今日は本当にありがとう。すごく楽しかった。」と言った。


「僕も。結衣さんと一緒に過ごせて、本当に幸せだった。」拓真は真剣な表情で応じた。


 こうして、二人の初デートは穏やかで幸せに満ちた一日となり、これからの二人の未来を照らすような、特別な思い出となった。


 デートの翌週、学校で再び隣の席に座った拓真と結衣。昨日の余韻がまだ残る中、二人の間にはこれまで以上に自然で温かい空気が流れていた。


「拓真くん、昨日のこと、家に帰ってからお母さんに話したら、『楽しそうでいいわね』ってすごく喜んでくれたんだよ。」結衣が照れくさそうに笑いながら言った。


「本当?それ、嬉しいな。」拓真も笑顔で返す。「僕も、母さんに『今日の料理、拓真が作ったの?』って言われて、自慢しちゃった。」


「それはすごい!お弁当、本当に美味しかったもん。次はもっといろいろな料理が食べたいな。」結衣が目を輝かせて言う。


「じゃあ、また次のデートのときに何か作るよ。そのときは、リクエストしてくれてもいいし。」拓真が提案すると、結衣は「それ、絶対に楽しみにしてる!」と嬉しそうに答えた。


 二人の会話は、昨日のデートで感じた感情や、次にしたいことについて自然と広がっていった。そして、授業中も休み時間も、どこか目が合うたびに二人は笑顔を交わしていた。


 その日の放課後、校庭を歩きながら、結衣がふと真剣な表情になった。


「ねえ、拓真くん。こうやって一緒に過ごす時間が増えると、もっと拓真くんのことを知りたくなるんだ。」


「僕も、結衣さんのことをもっと知りたいと思ってるよ。話すだけじゃなくて、一緒にいろいろなことを経験していきたいな。」拓真が優しく答える。


「それって、すごく素敵だね。これからもずっと、こうやっていられたらいいな。」結衣の言葉に、拓真は力強くうなずいた。

 

 二人の間にある絆は、初めてのデートを経てさらに深まりつつあった。互いの存在が以前よりも特別なものになり、それぞれの心に確かな安らぎと喜びをもたらしていた。


 桜の季節から始まったこの物語は、これからも二人の絆とともに色鮮やかに続いていく予感を感じさせるものだった。

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