第十章 関係の変化
告白が終わった翌日、学校の教室は普段通りの賑やかさに包まれていた。しかし、拓真と結衣の間には、これまでとは明らかに違う雰囲気が漂っていた。
「おはよう、結衣さん。」拓真は笑顔で声をかけた。
「おはよう、拓真くん。」結衣も笑顔で返す。いつも通りの挨拶なのに、互いの心には温かいものが流れていた。
隣の席に座った二人は、自然に会話を始めたが、どちらも少しだけ照れくさい表情を浮かべていた。
「昨日、ちゃんと眠れた?」拓真が小声で尋ねた。
「うん。ちょっと緊張したけど、すごく幸せな気持ちで眠れたよ。」結衣が微笑みながら答える。
「僕も同じ。なんか、夢みたいだなって思ってた。」拓真が照れくさそうに言うと、結衣は小さく笑った。
授業中も、休み時間も、二人の会話は以前よりももっと自然で親密なものになっていた。それは周囲のクラスメートにも伝わり、友人たちは興味津々に二人の様子を観察していた。
大輔が放課後に拓真に声をかけてきた。「おい、拓真。昨日どうだったんだよ?」
拓真は少し照れながら、「成功したよ。結衣さん、僕の気持ちを受け入れてくれた。」と答えた。
「マジか!やるじゃん!これからもっとがんばれよ。」大輔は嬉しそうに拓真の肩を叩いた。
一方、結衣も友人たちからからかわれながらも、幸せそうな表情で笑っていた。
「拓真くん、これからも変わらずにたくさん話そうね。隣の席のままだけど、特別な隣人でいよう。」結衣が放課後にそう言うと、拓真は真剣な表情でうなずいた。
「もちろん。隣の席から始まったけど、これからはずっと、もっと近くにいたい。」拓真の言葉に、結衣は静かに微笑んだ。
桜の季節が過ぎ、初恋の物語は新しい段階に入った。二人の関係は変わったが、その変化はどれも自然で、互いをより深く理解し合うものだった。
放課後、拓真と結衣は校庭をゆっくり歩きながら、次の週末の予定について話していた。
「ねえ、拓真くん。次の土曜日、もし時間があるなら、どこか一緒に出かけない?」結衣が少し恥ずかしそうに切り出した。
「もちろん。結衣さんが行きたいところ、どこでもいいよ。」拓真は嬉しそうに答えた。
「そうだなぁ。映画もいいけど、たまには自然の中でゆっくりするのもいいかなって思って。近くの大きな公園とかどう?」結衣が提案する。
「公園、いいね!確か、近くの〇〇公園は今、バラが満開らしいよ。行ってみない?」拓真が具体的な案を出すと、結衣の顔がぱっと明るくなった。
「それ、すごくいい!お弁当とか持って行ったら、ピクニックみたいになるかもね。」結衣が目を輝かせて言った。
「じゃあ、お弁当は僕も何か作って持って行くよ。」拓真が提案すると、結衣は驚いた表情を見せた。
「えっ?拓真くん、料理できるの?」
「簡単なものならね。でも、練習するいい機会だから頑張るよ。」拓真は少し照れくさそうに笑った。
「楽しみだなぁ!じゃあ私も何か作っていくね。どっちが美味しいか勝負だよ。」結衣が冗談っぽく言うと、拓真も笑いながら「負けないよ!」と応えた。
二人の初めてのデート計画は、自然に盛り上がっていった。その日の帰り道、拓真は公園でのピクニックを想像しながら、胸を高鳴らせていた。
「彼女と初めてのデート。絶対に楽しい日にしよう。」心の中でそう決意しながら、家路を急いだ。
結衣もまた、翌週末のことを思い描きながら微笑んでいた。二人にとって、このデートは新しい関係を祝う大切な一日になることを、どちらも確信していた。
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