『異セカイ文化人類学』番外編〜岩山の雪
所クーネル
『一岩の国』について
『
土地のほとんどが『
雪の降り積もった岩だらけの大地に、同じように雪化粧した堅牢な石造りの家が建ち並んでいるのはどんな景色だろうか。
人々の肌は灰鼠色で、髪は青みがかった黒。岩の様に大きく厳しい顔形をしているそうだ。そしてどんな服を着ていても、伝統衣装である毛皮を必ず身につける。
一岩の言葉には独特の単語が数多くあり(例えば『岩に当たる雨の音を聞きつけて外に出る』という状況を表す単語があるそうだ)、他国の人とはもっぱら共通語を使って会話しているそうで、ほとんどの人が完璧な二か国語話者だという。
彼らはこの厳しい環境のせいで「考え方も性格も、雪のように冷たく岩のように硬くなってしまった」と本に書いてあった。
だが俺の先生こと、自称天才魔導士フィスさん曰く、
「それは表面的なことにすぎない。彼らは少ない資源を分け合い、知恵と工夫を駆使して助け合って生きてきたのだから、心根は熱いほどにあたたかく、お節介なほど世話焼きなのだよ」
とのこと。
「確かに警戒心が強く、よそ者を嫌うが、こちらに敵意がないことがわかれば一瞬にして家族のように接してもらえる……」
しかし先生は、銀色の長い顎髭を弄びながらぼそっと続けた。
「自分たちが、母であり父である『
俺が転生したこのセカイは、まだまだ知らないことばかりだ。
『異セカイ文化人類学』番外編〜岩山の雪 所クーネル @kaijari_suigyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます