主人公は42歳。壮年期の「おじさん」だ。
ペコペコニコニコと愛嬌だけでここまで世渡りしてきたという、メタボ気味の普通の会社員。「ものすごい能力を持った主人公の解説役」とかやってそうなモブキャラ系。
そんなおじさんが、いきなり「最高ランクの能力者」と言われてしまう。
では世界中に出現したダンジョンとは?
おじさんの能力とは?
どんなモンスターが現れるのか?
しかしそんな展開、すぐには始まらない。
勤め先の本部長の激励とか、朝礼で送別会とか、妙に現実的でリアル。
それが面白い。
普通のおじさんが、普通の生活からじわじわとダンジョン攻略へ移動していくのが、丁寧に描かれていて味わい深く思いました。
1話で能力があると発覚、2話でそれを受けての社内の様子、3話でやっとダンジョンを調べている政府機関へ移動……と、展開はゆっくりしているが、内容は濃い。
指導官や他の主要キャラクターだけでなく、医師やトレーナーなどの脇役までしっかり描かれているし、背景描写も地の文にぎっしり詰まっていて読み応えがある。
オトナのダンジョン攻略は、どこまでもリアルだ。
それぞれに長所も短所もあり、悩みも抱えている仲間たち。
任務に動画配信が加わって、彼らや本田が各々の関わりでどのように変化・成長していくのか楽しみにしています。
主人公の本田さんは、本当にただの普通のおじさんで、最高ランクと言われても何もかもが普通。
最初は会社の送別会とか、政府の機関に連れて行かれて能力開発とか、普通なので苦労のシーンも多い。
でも仲間が集められていって、ダンジョンに入ってからは、徐々に本田さんの本当の能力は、最高ランクの氷魔法じゃなくて、その普通すぎる性格にあるというか、おじさんだけど明るくて前向きで、人を悪く言ったりしないところなのかな、と思えるような展開に。
登場人物みんなサブキャラまで大事に描かれている印象があって好感が持てました。
うまくいかない展開でも、おじさんが明るい性格なので鬱にならずすいすい読める。
第1部のラストの怒涛の展開のあと、第2部の最初が日常回っぽくて楽しかった。おじさんがみんなの話を聞いてあげて、悩みが解決していく感じがよかった。
第2部は配信バトルがはじまるということで、ワクワクしてます。