最終話 俺のタガが外れた瞬間(改稿済み)
――ここからレイティングあり(R要素あり)に変更したので、ニガテな方は2話で完結だと思ってください。いまだにどっちの方が需要あるのか分からなくて悩んでいる作者。
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「ごちそうさまでした」
鍋を食べ終えて手を合わせていると、駒瑠が前に乗り出すようにして俺に話かけてきた。
「先輩先輩。どうでしたか? 初めての雪見鍋は!!」
「ん、ああ。あっさりしていてうまかった」
「んふふ。でしょー? 雪の中、材料買って来て作った甲斐がありました」
駒瑠は満足げな笑みを零す。
「おう。ありがとなー」
「へへ。もっと褒めてくれてもいいんですよ!?」
そう言って駒瑠はちらちらと俺を見つめながら頭を差し出した。
え、何、撫でろってこと? そう思うのだけど、なんとなく気が引けて。
「はいはい、えらいえらい」
撫でずに口だけで言ってみたのだけど。駒瑠はわざとらしく頬を膨らませると、俺の傍へとやってきた。
「むうー。可愛い後輩が褒めて欲しがってますよー?」
そして上目遣いで俺を見つめながら、ふわっと抱きつく。
……すっごい至近距離で目力ありすぎなのだけど。
そして駒瑠はねだるように甘えて来るから、嫌でも駒瑠の胸元の質量がぐいっと俺に押し付けられる。おまけに、トレーナーしか着てないから裾が持ち上がって、太もものあたりが際どい。……というより、ちょっと見えてる。
勝手に高鳴りはじめた心臓を抑えながら、根負けして『はいはい、えらいえらい』と言いながら駒瑠の頭をポンポンと撫でてみた。
すると駒瑠は分かり易くご満悦と言った表情になって。
「へへー。やっと褒めてくれたぁー。……キスとかも、してくれたら喜びますよ? して欲しいなー?」
ちらちらっとねだる子犬のような大きな瞳で俺を見つめながら、駒瑠は甘えるようにさらに顔を近づけながら俺の膝に乗ってきた。俺の唇に、駒瑠の吐息がかかる。
その瞬間、以前駒瑠としたキスの感触を思い出してしまった。溶けそうなほど柔らかい、あの感触。
それが、今、俺がほんの少し駒瑠の方へと唇を動かすだけで、簡単にキス出来てしまうほどの距離にあるのだ。
俺の心臓はさらにバクバクと煩くなっていく。
けれど俺は、駒瑠が『世界一安全マン』と揶揄するほどの男。勝手に強烈な理性が働いた。
「ああ、もう、調子に乗るな。ほら、降りて」
だから俺は、なんてことないフリをしてそう言った。別にしたくないわけじゃない。なんなら俺の下半身は勝手に反応してしまっている。けれどそれを駒瑠に悟られるのが恥ずかしい。バレる前に早く膝から降りて欲しくなったのだ。
「むぅー。やっぱり先輩手ごわい。こーんな可愛い後輩がこんな格好で甘えてるっていうのに。どうかしてますよ、何にもしてくれないなんて」
なのに駒瑠は一向に俺の膝から降りる気配はなくて。
「いやいや、どうかしてるのは駒瑠の方だから」
そう言ってみるのだけれど。
「えー? 好きな人からキスされたいっていう
やっぱりどうかしてるのは駒瑠の方だと思う。キスされたいとか、襲ってくれていいとか、泊めざるを得ないこの状況で、俺の理性を崩壊させる言葉ばかり言って来るのだから。
「いや、シャワー浴びたのはそのためじゃないだろ?」
だから必死に理性を留めておこうと聞いてみるのだけれど。
「んー。そのためじゃなかったけど、ちゃんとそれも意識して浴びてきましたよ?
だからほら、こんな格好してるわけですし。……それとも先輩は、彼シャツ姿の駒瑠の方が好みでしたか!?」
しっかりと俺の理性を吹き飛ばす言葉を言って来る。けれど駒瑠はそう言いながらも、『……でも……』と恥ずかしそうに口ごもったのを俺は聞き逃さなかった。
「ん? ……『でも』、なに?」
「あーえっと。前回、彼シャツ姿になった時、……先輩が一個一個ボタン外していったじゃないですか。あれ……死ぬほど恥ずかしかったから、今回はトレーナーにしちゃったんだよな―って」
恥ずかしそうにそう言った駒瑠の言葉に、急にあの時俺にシャツのボタンをすべて外された時の、駒瑠の真っ赤な顔と深い谷間を思い出してしまった。
――その瞬間。理性などというものは、いつまでも歯止めが利くものじゃないということを、俺はこの時初めて体感した。
「あ……無理かも」
俺はボソッと呟いた。
「……え? 無理って、何がですか?」
俺の言葉に駒瑠はきょとんとした表情を浮かべる。
「駒瑠?」
「はい」
「キスしていい?」
「……えっ。も、もちろんですっ」
ふいにタガが外れた俺の言葉に、駒瑠はびっくりした表情を浮かべてから、何かを期待するようにそわそわとした様子で、『キスして』と言わんばかりに目を閉じた。
俺はそんな駒瑠の唇に俺のそれをそっと重ねる。そしたら駒瑠はもっとと求めるように俺に抱きついて唇を押し付けてくるから余計たまらない。
一度外れたタガなんて、もうどこかに飛んで行ってしまったというのに。
――『こーんな可愛い後輩がこんな格好で甘えてるっていうのに。どうかしてますよ、何にもしてくれないなんて』
『いつでも気が変わったら襲ってくれていいですからね』
『先輩なら何されてもOKです』
これでもかと、駒瑠の言葉が俺の脳裏に押し寄せてきて、駒瑠とのキスは徐々に激しさを増していく。
「なぁ、駒瑠? 俺に手を出して欲しくて、こんな格好してるんだっけ」
「え? ……はい。そうですよ?」
「そっか」
俺は駒瑠の着ているトレーナーの裾を掴むと、一気に上に引き上げた。
「……え!?」
一瞬にして、下着だけの姿になった駒瑠は、あの時見た以上に真っ赤な顔になっていて。
「え、え、え、ちょ、せんぱ……っ。ま、待って、急に脱がされたら……はずかし……すぎ、る……」
さっきまでの威勢のいい駒瑠とは正反対になっていて。
「だって。この服選んだの駒瑠だし。いつでも襲っていいって言ったのも駒瑠だし」
「そ、それはっ、そう、なのですけどっ……」
俺の腕の中で真っ赤な顔して動揺する駒瑠を俺はそっと抱きしめて、耳元で囁いた。
「……じゃあ、やめる? やめて欲しい?」
そしたら駒瑠もそっと俺の身体に抱きついてきて。
「……やだ。……やめる方が……やだ」
か弱い声で、さらに俺のタガを消し去る言葉を言ったのだった。
◇
結局、その日、鍋以外でも『あつーい夜』を過してしまったわけだけど。行為の後のベッドの中で、駒瑠は俺の胸に抱きつきながらそっと呟いた。
「ねぇ、先輩? ――また、先輩とこういうこと出来て嬉しいんですけどね? ……先輩にとっての私は……なんですか?」
言われてはたと気付く。俺――、一瞬にしてタガが外れたから大事な言葉を言ってなかった。
「……『駒瑠、好きだ。俺の彼女になれ』とか、言われたいんですけど。……言ってくれませんかね……?」
そしてたどたどしく駒瑠は聞いてくる。いつもは威勢がいい癖に、今日はどうしたことか自信がなさそうだ。
けれどなんて言おうか悩んでしまって言葉が出ない。すると駒瑠はどんどん話掛けてくる。
「……私って……このままだとただのセフレ、なんですかね。……うう。この際先輩が求めてくれるなら、セフレでもいいです。……でも、私だけ……にして欲しい。な」
その言葉が、俺の心のどこかに突き刺さった。
俺には駒瑠はもったいないと思っていたけれど、することしてしまったのに付き合っていない方がどうかしてるじゃないか。
だから俺は、駒瑠が言われたいと言った言葉を俺の言葉に変えて、伝える事にした。
「……駒瑠。好きだよ。……俺と、付き合ってくれますか?」
その瞬間。駒瑠の大きな瞳は涙でいっぱいになっていて。
「はいっ!!」
涙まじりの声で答えた駒瑠の身体を、俺はそっと抱き寄せた――。
――俺にやたら懐いている可愛い後輩ちゃんが、雪を言い訳に俺の部屋に泊めてとやってきて、俺の理性を崩壊させてくるのだが。(完)
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最後まで読んで下さりありがとうございました。時間がなさ過ぎな中書いたので、至らないところも多々あるかと思いますが、『雪』をお題に1万文字縛りで書いた今作、面白かったと思っていただけたら、★による応援を頂けたら嬉しいです。
↓カクコン10参加作品まとめ↓長編もあり。過去作共々よろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/users/soramamekuu0711/collections/16818093090594129795
↓駒瑠が先輩にお酒飲ませた時の話はこちら↓
俺にやたら懐いてる策士で可愛い後輩ちゃんが、酔って甘えて俺の理性を崩壊させてくるのだが。
https://kakuyomu.jp/works/16818093079451781199
空豆 空(そらまめ くう)←作者フォローもぜひ、よろしくお願いします
俺にやたら懐いている可愛い後輩ちゃんが、雪を言い訳に俺の部屋に泊めてとやってきて、俺の理性を崩壊させてくるのだが。 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711
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