肉を食べよう

白川津 中々

◾️

一人暮らし五日目にして早くも料理のレパートリーが尽きた。


肉野菜炒めに肉鍋。肉うどんに肉豆腐。肉カレー、肉シチューなど、育ち盛りの俺はとにかく肉、肉、肉なわけであり、肉以外のおかずは考えられないわけだが、焼く、煮る、炒める以外の技法を知らない。このレベルで自炊は早すぎたのだろうかと肩を落とすも、逆にスキルアップのチャンスじゃないかと切り替えるポジティブシンキングにより即時復活。ちょっと手の込んだ料理に挑戦してみようと意を決して今晩はハンバーグに決定したのであった。


材料。

肉。

卵。

牛乳

塩胡椒。

ナツメグ。

パン粉。


レシピは見ない。料理はフィーリング。感じる独自のテイスティング。こんなん適当にガッーやったったらええねん。まずは肉を冷凍室から持ってきて解凍。ミンチにする。それで塩胡椒とナツメグをふって、牛乳、卵、パン粉の順につけ、油を敷いたフライパンに投入。じっくり焼けば完成である。


……なんか揚がってるな……あぁ、これメンチカツだ。ま、似たようなもんだしいっか! メンチカツ完成! 味はそこそこ! はい完食!


というわけで、後片付けも完了。今回作った揚げ焼きメンチカツはレパートリーに加えよう。楽しみが増えて幸せだが、まだまだ作れる料理は増やしたい。なにせ肉は三人分もある。とてもすぐには食べきれないから、より美味しくする方法を見つけなくては。


母。

父。

妹。


冷凍室。肉に貼り付けたラベルを眺める。妹の消費がやや早い。柔らかくて美味いのだ。しかし俺は育ち盛り。質より量であるから、明日は大きい父の肉を使おう。あぁ、そういえば、生前すき焼きを偉そうに作ってたな。明日は、父の肉ですき焼きにするか。


食の豊かさは人生の幸せに直結する。

明日も、楽しみだなぁ。

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