私にとって大事な日─
鈴奈
大切な日
今日はこの世界の誰かにとって大切な日かもしれない─
その言葉をコンセプトとした番組。それが「誰大」。私はそこで専属リポーターとして働く小林まみ。この番組は10日分を撮って後日まとめて放送する形だ。
「よーっし今日も頑張るぞーー!!」
そんな意気込みを発した今日は12月27日。クリスマスも終わり、もうすぐ年末だー。程度で済まされる日。今日が大切なんて人なかなか居ないかな。まあそんなこと思っても私は今日も働くんだけれど。
はあ、憂鬱だ。
みんなは年末だから休みだろうけど私は誰かも知らない人の大切な日を探しにいくんだから。この仕事、もうやめたいな。
そんな気持ちで私は取材に出かけた。
─────────────────────────────────────────
「今日って何かご予定ありますか?」
「インタビューに答えてもらっても、」
「今日、何か大切なことがありますか、?」
すべて断られる。
ああ、早く終わらないかな、
そんなとき、
「今日、ですか?はい、ありますよ。とても大切な日です。」
さらさらとした髪の毛。すごく素敵な髪色。つい抱いてしまいたくなってしまうような小柄さ。そんな見た目の彼女は私の救世主のように思えた。いつもは夜くらいまでかかるのに。
そんでもってネットでは「毎回夜やん(笑)」 「コンセプトがまず売れねぇんだよ」
「この番組くそつまらんわw毎回夜だしww」
などと罵詈雑言を浴びさせられる毎日。
「今日はあるものに出会って、そこに居始めてからちょうど一年なんです。」
彼女はそういった。
「その、あるものって、?」
私は聞いた。そしたら彼女は
「ごめんなさい!!!それは言えないんです、。」
不思議な人。隠して何になるんだろう。
「じゃあせめてあなたについて取材させていただいてもよろしいでしょうか、?」
私は早く仕事を終わらせたいあまりについそんなことを言ってしまった。そしたら彼女は少しびっくりした様子でコクンと頷いた。
よかった。彼女には申し訳ないけれどこのまま取材を続けていこう。
「まず、そのあるものの事をどのように思っていますか?」
「とてもとても大切な場所でした。」
でした、?今はちがうのかな?そんな疑問を抱いた私は
「でした、と言うのは今はちがうとゆうことですか?」
彼女は
「あっ、今大切に思ってない訳ではなくて、今はもうその場所に私はいないんです。とても楽しかった。嬉しかった。でもやっぱり辛いこともあって。それで今はその場所にはいません。」
彼女の言葉を聞いて私はなるほどと頷いた。でもいいな少しでも楽しいだなんて思えるなんて羨ましい。
「次の質問です。あなたがこよなく愛するものはなんですか?」
その質問に彼女は
「兎と小さな女の子とアイスクリームですかね!」
小さな女の子、?私は戸惑った。ろり、、ロリコン、!?さすがにここはカットしてもらおう、、。
「どうして兎が好きなんですか?」
私は純粋な質問をした。
「兎っていつでも飛ぶじゃないですか。私もそんな風にいつでも何事にも挑戦したいなって思ってたからです!」
そんな深い理由が、、。
「素敵な理由ですね。貴方はすごく派手な髪色をしていますがそれは染めたのですか、?」
要らない質問だったかもしれない。でも彼女、ミントグリーンの髪色だもん。つい気になってしまった。
「え、あーこれは地毛です。生まれた時からっていうか生まれたては茶色だったんですけどね。小さいときからチョコレートミントばっか食べてて、どんどんこの色になったって親が言ってました(笑)おかしいですよね(笑)」
衝撃的な理由に私はつい驚きを口にしてしまった。彼女も申し訳無さそうにしていた。
そんな質問をいくつかして私はそろそろ取材を終わろうとした。
「質問のご回答ありがとうございました。これで取材は終わりです。」
私がそう言うと彼女は
「こちらこそありがとうございました!これからもお仕事頑張ってください!!」
そんな言葉に私はうるっと来てしまった。今までそんな事言われたことないし、みんな面倒くさそうにしていたからだ。
私はその場を離れ、家に帰った。
今の仕事はやめたい。でもそんな暖かい言葉をかけられるならもう少しくらいやっあげてもいいかもしれない。
そういえばあの子の名前を聞いていない。ミントグリーンの髪色で兎が大好き。チョコレートミントをよく食べる。とにかく不思議な子だったけれどもう一度会いたい。
終わり。色々考察とかまってるね。
私にとって大事な日─ 鈴奈 @yuzubanahani82
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます