家族

東雲燈

第1話

-もし生まれ変わっても

この気持ちを伝えられたらどれだけ幸せなのだろう-


冬の夜。

私とお揃いの。真っ黒な服で身を包んだあなたが。

窓の向こうに降る雨を。涙を流して見つめている。

私はあなたの頬にキスをして

『彼は優しい人だから。きっとあなたが泣いていたら困ってしまうわ。』


冬の夜。

彼とあなたと私と。紅茶を飲んで本を読んだあのテーブルも。

小さくて綺麗な花を。たくさん咲かせていた花壇も。

今は真っ白い雪が。窓の向こうに静かに落ちていく。

私はあなたの手の甲にゆっくりと触れて

『今夜は冷えるから。暖炉に火を焚べてふたりで暖まりましょう。』


冬の夜。

あなたが産まれてきた時からずっと一緒にいたから。

彼と同じように。あなたを置いていってしまうのが。とても怖いのだけれど。

この寒さが和らいだら。きっとあなたは笑ってくれるだろうから。

今は。あなたの膝の上で眠るのがとても気持ちがいいの。


-それであなたがまた笑ってくれたなら

あなたは私の大事な妹なのだから-

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家族 東雲燈 @EascloudTorch

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