反抗期の娘のドアを魔法でぶち壊してみた件

藤川みはな

✴︎✴︎✴︎

 

 「ちょっとルカ!いつまでも部屋に閉じこもってないでいい加減出てきなさいっ!!」


母がダンダンダンっと扉を叩く音が聞こえる。


 「うっせぇな!! クソババア!!どっかいけよ!!」


 スマホの見過ぎだとかいちいち干渉してきてうるせーんだよ!!


 あたしはスマホに向き直り

トゥイッターで『ババアマジうぜー』とつぶやく。


 「出てこないとこっちも実力行使するわよ!」


 母の言葉を無視して動画の視聴を開始。

その瞬間、ドーンっという爆音が聞こえ、オレンジ色の光が見えたと同時にあたしはベッドまで投げ出された。


 は??


 何が起こったの?


 ドアの方を見るとなんと扉がなくなり

母が手をかざしているのが見えた。


 床に扉の残骸が転がっている……。


 「え? は? な、何??

何が起きた?」


 「言ってなかったけどね実はお母さん魔女なの」


 「は?」


 ついに頭がおかしくなってしまったのだろうか。


 「だから扉を壊すくらいたやすいのよね」


 「ふざけんな!!魔女なんているわけないだろ!」


 「目の前にいますけど」


 完全に頭がおかしくなってしまったようだ。


 「お母さん……病院行け」


 「失礼な! わたしは正真正銘の魔女よ!

ほら、見てごらん」


 母が手のひらをあたしの横にあるスマホに向けるとなんとスマホが宙を泳ぐように母の手に吸い寄せられていく。


 「あっ! あたしのスマホっ!!」


 「これが魔女の力よ」

母は自慢げに寄ってきたスマホを掴んだ。


 えっ、これマジ?

本当だとすれば母に逆らうとやばいことになる

未来が見えるぞ?


 冷や汗がタラタラ流れる。


 「分かったら、早く降りてきなさい?

夕飯冷めちゃう」


 ニコニコする母が恐ろしい。


 「う、うん、ワカッター!」


 母は強し。

その言葉に付け加えるとしたら

魔女の母は強しだ……。


 これからは母に逆らわないで生きていこう……。




終わり

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