はじめて

ヤマシタ アキヒロ

はじめて


はじめて何かを

するということ

それは二回目よりも

はるかに尊い


はじめて山に登る

はじめて海を渡る

はじめて橋を架ける

はじめてトンネルを掘る


そんな大事業でなくても

身近なことでも

それは同じ


はじめて言葉を交わす

はじめて電話を掛ける

はじめて手紙を書く

はじめて微笑みかける


はじめてのものには

一度きりの魔法がある

かけがえのない

チャンスがある


きっと神様が

背中を押すのだろうか

そして天使の羽を

くれるのだろうか


勇気がいること

それはとりあえず正しい


失敗でも成功でも

壁に風穴を開けた

そのことに価値がある


でも本当は

自信がない

これでいいのか

不安になる


でもでも

ちょっと楽しい

山に登って

息を吸うような

すがすがしさがある


ものごとは大きく

二つに分かれる

はじめてのものか

そうでないか


もう一度言おう


勇気がいることは

とりあえず正しい


人生は「はじめて」の連続である


だから人生は

とりあえず正しい


          (了)

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