その先にあるもの

その先にあるもの

　学校（がっこう）で魔法（まほう）を一（ひと）通（とお）り学（まな）んで、私は屋外（おくがい）の試験（しけん）会場（かいじょう）で宙（ちゅう）を舞（ま）っていた。私と同（おな）じくホウキに乗（の）ったローブ姿（すがた）の女子（じょし）が何人（なんにん）もいたのだが、ほとんどが叩（たた）き落（お）とされて脱落（だつらく）している。眼下（がんか）の芝生（しばふ）は墜落（ついらく）時（じ）の衝撃（しょうげき）をどれほど和（やわ）らげてくれるだろうか。

　と、私を除（のぞ）いては唯一（ゆいいつ）の残留者（ざんりゅうしゃ）が視界（しかい）に入（はい）ってくる。急（きゅう）カーブで私の正面（しょうめん）に回（まわ）り、高（こう）速（そく）飛（ひ）行（こう）で突（つ）っ込（こ）んできた。

　互（たが）いの口端（くちは）が吊（つ）り上（あ）がる。私も彼女（かのじょ）も杖（つえ）を向（む）けて、同時（どうじ）に撃（う）ち合（あ）った致（ち）死（し）性（せい）の攻撃（こうげき）魔法（まほう）は交（こう）錯（さく）し、光（ひかり）が鮮（あざ）やかに空（そら）を彩（いろど）って試験（しけん）は終了（しゅうりょう）した。

「今回（こんかい）の合格者（ごうかくしゃ）は二名（にめい）！」

　そう校長（こうちょう）先生（せんせい）から発表（はっぴょう）されて、私と彼女（かのじょ）が抱（だ）き合（あ）って喜（よろこ）ぶ。周囲（しゅうい）の祝福（しゅくふく）もありがたかった。

　試験（しけん）内容（ないよう）は複数（ふくすう）の悪霊（ゴースト）退治（たいじ）で、私も彼女（かのじょ）も背後（はいご）の死角（しかく）から敵（てき）に追（お）われていた。すれ違（ちが）いざまに、互（たが）いの背後（はいご）へと攻撃（こうげき）魔法（まほう）を撃（う）って悪霊（ゴースト）は消（しょう）滅（めつ）したのだ。

「一緒（いっしょ）に合格（ごうかく）できたわね、嬉（うれ）しい」、「都（みやこ）で一緒（いっしょ）に暮（く）らしましょうね」

　もう勝（か）ちも負（ま）けもない。愛（いと）しい人（ひと）と共（とも）に私は生（い）きていく。