あ!ここに小さい箱があります。可愛いですね。

ねくしあ@7時9分毎日投稿

12/25:可愛い箱です。

 あ! ここに小さい箱があります。可愛いですね。


「はぁ~。クリパ楽しかったな――って、なんだろこの

段ボール。もしかしてプレゼント?」


 とある家に住む一人の少女が、自分の部屋に置かれた箱を見て首を傾げています。


 分厚いコートの下にはサンタのいコスチュームが覗いており、言動から合わせて先程までクリスマスパーティーをしていたのがわかります。

 青春の中で健気に生きているのを感じます。可愛いですね。


「まぁ、いっか。寒いしとりあえず暖房つけて……」


 微かにかじかんだ手でエアコンをつけると、次第に部屋が暖かくなっていきました。

 外よりよっぽど温かい部屋に気持ちが緩んだのか、表情は子どものようにワクワクしています。可愛いですね。


「私、最近何か頼んだっけ……いやないな。でもプレゼントだったらもうちょっと装飾してある気がするけど……とりあえず開けちゃおっと」


 勝手に開けようとするだなんて、いけない子ですね。きちんと考えないで行動すると損をするのは自分だということを知らないみたいです。可愛いですね。


 そうして、女の子は箱を開きました。


 そこには、もっと可愛い箱がありました。


  ピンクを基調に、ハートマークやクマなどの可愛らしい動物のぬいぐるみの模様がたくさんあしらわれた箱です。

 やっぱり女の子は可愛いものが大好きなんですね。その証拠に、目は獲物を狩る狩人ハンターのようになっています。本当に興味津々なのがまるわかりです。


「こ、こんなに可愛い箱の中身……気になる……でも……」


 ――何か思い悩んだような顔で、彼女はしばらく手を伸ばしては引っ込めを繰り返し、かぶりを振っては顎に手を当て考える素振りを見せていました。

 

 まるで、なにかに取り憑かれたかのように、数分間ずっと繰り返していたのです。


「……ま、まぁ、ちょっとくらい、いいよね。パパやママが変なもの買うはずないし……ちょっと見るだけ、そう。プレゼントだったら問題ないわけだし!」


 必死に自分に言い訳を聞かせ、ツルツルとした表面の箱を開けます。


「えっ――」


 そこには、底がありませんでした。


 なにもない、まっくらで、あったかいくうかんでした。


 「えっ……ちょっとなにこれ――!?」


 素っ頓狂な顔をしていますがもう遅いです。

 すでにボクの中に入ってしまったのですから。


 白い腕を這うように長い触手が伸びていきます。それはすぐに彼女の身体の半分を包み込み、がっしりと身体を掴みます。


「な、なに、これ……ぬめぬめしてる……っ」


 おぉ、頭も呂律も回らなくなってきたようですね。良かった良かった。


 さてと――


「あれ……引きずり込まれ……や、やめ――!」


 を合わせて、いただきます。


 ごっくん。

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