僕の受験と恋は熱で壊れた
きいろいの
受験も恋も超難関!?
僕は加賀 賢。明日はいよいよ志望校である千恵野高校の受験日だ。偏差値が高く倍率が高い超難関高だ。
だけど、将来立派な医者になる為と……憧れの人である小泉 七香さんと高校ライフを…いやいや、邪な考えはダメだ!!
「おやすみなさい!!!」
僕は大きな声で寝るのだった。
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僕はいつの間にか千恵野高校の校門前に立っていた。さっき寝たはずなのに、ここに来るまでの記憶が全然ない。緊張しすぎて記憶が飛んでいたのか?
周りには真面目そうな生徒たちが次々と校門を通り抜ける。
「おはよー頑張ろうねー!」
同じ学校の女子たちが入っていった。その中には七香さんがいる!!
「ぼ、僕も行かなくては!」
急いで校門を抜けて千恵野高校に入る。
そこでどうしておかしいと思わなかったんだろうか。他の生徒が昔のアニメみたいな作画で同じ人物が歩いているような見た目だった事を。
受験会場受付で渡された紙にはこう書かれていた。
【3回表ツーアウト 背番号22番 加賀 賢】
「……………????????」
逆に考えるんだ!数字があるからクイズ形式になってるんだってことだ!受験を受ける場所と考えれば…。
「3年2組、22番の席で受けろってことか!」
納得したのはいいが周りからは冷たい視線を向けられているような感じがした。どうしてだろう。
無事に席に着いて受験開始まで待つだけだ。……そして時間が来た時に一人の試験官が
「よーし…試験を始めますよごぼぼ…」
試験官じゃなくて試験管が来てる!?
ッ!ダメダメ!!ここで大声を出して驚いちゃ!他の人は驚かないのか?
「では容姿を配りますよーぼぼぼ」
明らかに人間じゃない、デカい試験管に手足が付いたマスコットにもなれない変な生き物だ…。取り敢えずテスト容姿を配られたからこっちに集中しよう…。
「ではすばばばばごっ」
試験官は無視をしてどんどん書いていこう。この問題は以前覚えたところに応用がきくから…。
「すみませーん、消しゴム落としてしまいましたー」
「わかりました。どこここらへんごぼ?」
「前の人の席あたりかと」
うわぁ!気になる!試験官がどう取るか気になるー!!
「これですーねぼ」
ジャバーッ!!
中身流れ出てるー!!!すごい量出てるー!!!
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
流れたところの下に穴が空いたー!?そこの席の人が落ちてったー!!!
「誰だね…私に温泉をぶっかけた愚かな者よ…」
なんかファンタジーのボスみたいのが出てきたー!?というかあれ温泉だったのか!?
その後このクラスでの受験は中止になった……。
「はぁ…超難関高のイメージとは全然違いすぎるよ…どうしてここに受けようと思ったのかわからないと…」
僕はとぼとぼと予備の教室に向かう途中に他の教室から1科目の受験が終わった生徒たちが出てきた。
「あれ?加賀くんじゃない?あなたもここに受けるんだー」
この声は…小泉 七香さん!!間違えない!僕の耳にとっては癒される優しい声…聞き間違えるはずがない!
「はい!僕もここに受けに来たんですよ!!」
僕は元気よく振り返った。だけどそこには七香さんの姿がなく代わりに…。
「テスト中は暖房が入っていて痛みそうだったわぁ」
七香さんの声を出すサンマの開きだった。あまりのショックで僕はその場で倒れ込んだ……。
「加賀くん?大丈夫加賀くん!?」
僕はサンマの匂いを嗅ぎながら意識が遠のいた。
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「なんでサンマの開きなんだ!?」
僕は飛び起きた。そこは自分の部屋のベッドの上だった。つまりこれはそう…夢だったのだ……。いや夢でも内容がおかし過ぎるわ!
時間を確認したところ深夜3時、少し熱っぽかった。勉強漬けで溜まった疲れが今来たのだろう。取り敢えず今は深く考えず。目覚まし時計がなるまで寝よう…。
〜しばらくして〜
無事に受験終了…夢の中と比べるとあっさり終わった気分だった。1番驚いたのは夢の中で見た受験問題と実際の受験問題が同じだったところだった。そういうのは予知夢だけにしてくれ。特にわからなかった問題も殆どなかったし大丈夫だと思いたい。
「加賀くーんお疲れ様ー!」
「小泉さん、お疲れ様ですー!」
やっぱ現実の七香さんはいいなぁ…。
「一緒に受かればいいね!」
「はい、そのほうが僕にとってもっと楽しい高校生ライフを迎えられると思いますので」
「ふふっ!あ、そういえば…」
七香さんが僕のおでこに手を置いたと同時に…。
「顔が赤いよ、少し熱でもあるんじゃないかしら」
とサンマの開きの姿の七香さんがチラつく。
「近くに薬局があるし解熱剤と飲み物を買いに行きます?」
「あ、ぜ、ぜひお願いします!」
あー!変な夢を見なければいい感じなのに!
「加賀くんはポッカリとアケエリどっちがいいのかな?」
「ポッカリ…で…開きはぱっかり…」
「どうしたの…?」
「なんでもないです!!!」
余程疲れているのか考えようとする力も抜けていった…。
「どう?落ち着いたかな?」
気づけば駅近くのベンチに二人で座っていた。いつの間にか買い物が終わっていたみたいだ。
「あの!お金は!!」
「私が払っておいたよ。返すのは…2人とも高校受験に合格してからで!」
彼女の優しい笑顔に僕は天使が落ちた来たんだと見つめてしまう。
「私はただ、困っている人を放ってはいけないタイプだから」
少し目を逸らして言う。もう僕の頭の中では天使だと上書きされ…。
「あ、そろそろ電車が来るね。先に帰るけど、加賀くんは落ち着いてからでいいからねー。家に帰ったら水分補給を忘れずに休んだほうがいいよー」
「あ、ありがとう…ございます…」
帰る姿はサンマの開き…呪われているのだろうか…。
これから先、また変な夢の影響が出ないか心配で仕方がないと僕は思った。取り敢えず帰ったら寝よう…。
僕の受験と恋は熱で壊れた きいろいの @kiiroino
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