おしるこから始まるラブコメ〜小悪魔系後輩は俺のことがめっちゃ好き〜

アニメの勇者

第1話

「あ’’ぁ’’ー疲れた〜」


俺の名前は明内みょうない零士れいじ。今は年始でクソ忙しいバイトの6時間シフトを終えて帰路につくところだ。確かにめちゃくちゃ疲れたが……


「時給1300円で6時間働いたから、今日だけで実質約8000円稼ぎましたよっと」


暗い夜道、るんるん気分でニヤニヤが止まらない。

社会人から見ればどうってことのない金額かもしれないが中学まではお小遣いとして月に1000円しか手に入れられなかったため、俺からすればひゃっほいなのだ。


冬休みはまだ1週間残っている。そのうちの1日はシフトは入ってないが、それ以外は6〜8時間で入っている。今は年始ということで時給がアップしているから稼ぎどきだ。うちのバイトは所謂15日締めというやつだ。12月16日から現在までの出勤時間、そして1月15日までのシフト予定をみて計算すると……ええと何円だ?計算機計算機……


「およ?」


ふと気づく。

親が契約してくれた一人暮らし用のマンションから数分の場所にある公園。

学校の登下校、バイトの出勤や今のように帰路につく際に必ず通りかかる公園。

そんな俺にとってお馴染みの公園(使ったことはない)はいつもと違う点があった。端的に、女の子がいる。それも1人だ。ブランコに俯いて座っている。別にこれだけだったら見て見ぬふりして帰るのだが耳を澄ましてみれば、冷たい冬の風に紛れてヒックヒックと泣き声が聞こえてくる。正直怖い。


予定変更、帰るのはもう少し先延ばしだ。公園の入口にある自販機でホットなコンポタとホットなおしるこを買ってから公園に入る。向かうはもちろん女の子のとこ。30秒もすればブランコに到着だ。


「えっと……ど、どしたん。話聞こか?」


使い古された定型文を女の子に投げかける。ナンパだと思われただろうか。ユーモアとして受け取ってほしいなぁ。


数秒ほどして女の子が顔を上げる。長髪によって隠されていた顔が現れる。

公園の灯りでうっすらと見える腫れた目元。相当な泣いてたっぽいぞこれ。

しかしまぁ、この子、所謂美少女と呼ばれる類じゃないだろうか?結構整っていらっしゃる。


「……どこか行ってください」


ありゃ、突き放されてしまった。言われてしまったらしゃーない。

俺は右手に持っていたおしるこを女の子が座っていない方のブランコに置く。おしるこである理由は、ない。それから俺は言われた通り女の子から離れる。創作の世界だとここからラブコメに発展するんだろうな。


そんな事を考えながら俺はやがて公園を出て、再び帰路につく。未だにあの子のことが気になるけど痴漢だとか強姦だとか誘拐だとかエトセトラ。そういう勘違いの果ての冤罪には巻き込まれたくはない。俺は別にお人好しではないのだ。


そんなわけで、いつもとは違う1日がありながらも冬休みの残りの1週間はあっという間に過ぎて、なんなら1年生の3ヶ月ある3学期も、半月ぐらいある春休みも過ぎていった。

……いやいやいやいや。時間の流れ早すぎじゃない?もうちょっとピッカピカの1年生を楽しませてよ。まぁ確かに3学期なんてこれといったイベントなんかないけどさ。おかげさまで明日から人生のゴールデンタイム、即ち高校2年生が始まってまうわ!


とか考えているうちに、またしても時は流れる。あっという間に翌日の朝。

もう登校する時間だ。くっそこの作者、早くイベントを起こしたいからって時間の扱い方が雑すぎるって。俺のことももっと考えてもろて。


凛と咲く桜並木の道。少しずつ散っていく儚くも美しい桜の花弁の上を歩む。

年度が変わり、久方の登校。私立暁学園高等学校の門をくぐる。

周りには赤の新2年生、青の新3年生、そして3月に本校をサヨナラした卒業生の色である緑を受け継いだ新1年生。


2と3年生は大きく貼られているクラス替えの紙を確認するために1箇所に固まる。1年生は事前に配られている入学手引を頼りにこれから入学式が始まるであろう体育館に向かっていく。

俺は2年生なので、クラスを確認するためにこれから恐ろしい人の塊に突っ込んでいかなければいけない。レッツ・クラウチングスタート!


3・2・1……go!


「ふげっぶはっゴホッガハッ」


あぁ、俺はここで終わるのか。

今までありがとう父さん、母さん。先、逝くね。


だが神は俺を見捨てなかった!

人カスどもに揉まれながら、瞬間誰かが俺の後ろに突き出していた右手を掴んだ。そして引っ張った。塊から脱出できた。助かった。


「ハァハァ……た、助かった」


俺は息も絶え絶えになりながら感謝の言葉を述べる。


「センパイ!」


先輩?つまり1年生だろうか。しかも声質からして女子。

カッコ悪いところを見せるわけにはいかない(手遅れ)のでくーるに息を整えながら顔を上げる。おぉ……THE・美少女って感じの子だな。てか誰?


「センパイ!」


「はい」


どうやら大事なこと(?)は2回言う主義か。


「好きです!付き合ってください!」


「はにゃ?」


彼女はスタンド使いらしい。

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