雪溶けの告白
ルイ
冬溶けの積もり
冬の寒い日あの子と出会った。
寒くて雪も降る中あの子は凛とした姿でベンチ一人で座っていた。
最初はセーラ服を着たあの子は異質に感じた。
雪降る夜にその姿は神秘的で、一瞬妖精かと思った。
最初は見てるだけだった自分もいつしか、気づけば彼女に声をかけたら、隣に座ることを許してくれるようになった。
ただ、降り止まないゆっくりと落ちてくる雪を二人で見上げてお互い冷たい手を重ねて雪をただ見ていた。
冷たい筈なのに、鼓動が高まって熱が全身に回って溶けてしまいそうな思いを募らせた。
積もっていく雪と同じように、思いも積もっていく。
いつか口にしなきゃ。
いつかじゃだめだ。
溶ける前にこの雪が止む前に‥。
あぁ、陽が登る。
太陽が冷たい存在を照らしていく。
この思いを口にしなければ。
雪はもう止んでしまった。
暖かい陽がのぼる。
この陽の下で口にしようか。
冷たい存在が陽に晒され始め、想いを口にした時。もう遅くて、雪もあの子も自分、冷たい存在たちは溶けたあとだった。
雪溶けの告白 ルイ @5862adr
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