第5話 初めての魔法

打倒ゴブリンに向けて、4人は作戦会議を行う。最初に提案したのは明だった。


「次は四方から攻めるぞ。俺が正面から挑発する。健は左から回り込んで注意を引け。瑞希は右側で一撃を狙え。そして朧、お前は背後を取って仕留めるんだ。」


この作戦に反対する者はいなかった。全員がそれぞれの役割を理解し、静かに気合を入れた。しばらく進むと、教室サイズの大きな部屋の中に1匹のゴブリンが姿を現す。


作戦通り、四人はゴブリンを囲む形で配置に就いた。明がゴブリンを挑発して注意を引きつけ、その隙に健が木刀を振り下ろし、右腕を狙う。


しかし、健の攻撃はゴブリンの腕にかすり傷をつけるにとどまった。ゴブリンが反撃しようと向きを変えた瞬間、瑞希が短く舌打ちをしながら包丁を投げる。


「さっさと倒れなさいよ!」

包丁はゴブリンの脇腹を切り裂き、怒りの咆哮を上げさせた。


「喰らいやがれ!」

その間に明が金属バットを振り抜き、ゴブリンの体を横殴りにする。


「これで終わりだ!」

最後に朧がその隙を突き、斧を深く叩き込む。ゴブリンは悲鳴を上げる間もなく消え去った。


「よし、いい連携だった!」

明がガッツポーズを見せる。瑞希はふくれっ面をしながら肩をすくめた。


「ったく、ゴブリンごとき早く倒れなさいよ…というかいつになったら魔法使えるのよ」


「やっぱり、魔法を一番楽しみにしてるのは瑞希じゃないか?」

健がからかい、瑞希と口論を始める。そんな中、朧は密かに胸に新たな確信を抱いていた。


(俺でもやれる...いずれ魔法が使えるかもしれないんだ。)


4人はその後もゴブリンを次々と倒し、狩りを続けた。

そして、計5体のゴブリンを倒し、最初にレベルアップをしたのは朧だった。

―———―———―———

名:久遠朧

レベル:2

HP:50/50

MP:35/35

攻撃力:F₋

防御力:F₋

俊敏力:F₋

魔力:F₋

天命力:A

【称号】:ΞΓ₣ΩΣ

【スキル欄】

・光魔法【1】《光弾》

・闇魔法【1】《闇弾》

・パーティ結成【-】

―———―———―———


朧は画面に表示されたステータスを見つめ、そこに書かれた新しいスキルに目を奪われた。そして、それらをタップすると詳細が浮かび上がる。


《光弾》

消費MP:5 / 威力:F

説明:基本的な光属性魔法。光弾を放ち、相手を攻撃する。


《闇弾》

消費MP:5 / 威力:F

説明:基本的な闇属性魔法。闇弾を放ち、相手を攻撃する。


朧は興奮を抑えられないまま仲間たちに報告した。


「3人とも、ちょっと待ってくれ。」


「どうした?」明が立ち止まる。


「俺、レベルアップした。それで、光魔法と闇魔法を手に入れたみたいなんだ。」


「魔法…朧、魔法が使えるのか?」健が驚いた表情を浮かべた。


「ホントに?早く!早く使ってみなさいよ。」瑞希がキスしそうな勢いで迫ってくる。


「マジかよ!?早く使ってみようぜ!」明も興奮冷めやらぬままに迫ってくる


朧は少し考えた後、《光弾》を試しに発動させようと、集中を始めた。

朧が手のひらに意識を集中させると、直径20cmほどの光球が生まれた。光球は柔らかく輝き、手のひらに浮かんでいる。


「おお、すごいじゃん!」

明が感嘆の声を上げ、健も感心した様子で頷いた。


「これなら戦闘でも役立つかもな。」

しかし瑞希は冷ややかに見つめながら言う。


「光るだけの魔法なんて、便利かどうか分からないじゃない。」


「試してみればいい。」


朧はそう言うと、光球を前方に向かって放つ。光球は時速60kmほどの速さで飛び出し、近くの岩壁に衝突して小さな爆発を起こした。


「おお...!」


仲間たちはその威力に少し驚きながらも、頼もしさを感じていた。

続いて朧は《闇弾》を発動させてみた。暗いエネルギーが朧の手のひらに渦巻き始めた。その球体は光球とは対照的に黒く、見る者に不気味さを感じさせた。さらに、周囲の空気がひんやりと冷たくなる。


「うわ、不気味だけど強そうだな...」


健が身構える一方、明は興味津々で提案した。


「この魔法、次の戦闘で試してみようぜ。どれくらい使えるか見てみたい。これがあれば、今まで避けてきた複数のゴブリンにも挑めるかもしれない」


朧は頷き、次の戦いで新たなスキルを活かす決意を固めた。

しばらくダンジョンを探索すると、3匹のゴブリンに遭遇する。明が指示を出した。


「今回は朧が魔法でサポートしてくれ、魔法で先制攻撃を仕掛けるんだ。」


「分かった。」


朧は少し緊張しながらも、自分の力を試すことに決めた。

朧は《光弾》を先頭のゴブリンに、《闇弾》を次のゴブリンに当て、両方とも一撃で倒した。最後のゴブリンは明がバットで後ろから仕留め、あっという間に戦闘は終わった。


(これが魔法、なんだこれ、強すぎだろ、チートかよ。)


朧はゴブリンを1発で倒してしまう魔法の威力に驚愕しつつ、自分のステータスを確認した。


―———―———―———

名:久遠朧

レベル:2

HP:50/50

MP:15/35

攻撃力:F₋

防御力:F₋

俊敏力:F₋

魔力:F₋

天命力:A

【称号】:ΞΓ₣ΩΣ

【スキル欄】

・光魔法【1】《光弾》

・闇魔法【1】《闇弾》

・パーティ結成【-】

―———―———―———


(あと3発か、レベルアップした分を含めて今打てるのはあと3発までか。このMPはどれくらいで回復するんだ?そういえば、もうひとつスキルがあったよな。どういう効果なんだ?)


朧が自分の能力について考えを巡らせていると、健、明、瑞希が興奮した様子で駆け寄ってきた。


「すげえな、朧!一発で倒しちゃうなんて、お前の魔法マジで強いぞ!」


健が目を輝かせながら叫んだ。


「作戦通りの完璧な先制攻撃だった。朧の魔法のおかげで、こんなにスムーズに勝てるとは思わなかったよ。」


明も感心した様子で頷いた。


「朧、あんたすごいわね!光と闇の魔法を使えるなんて、まるでファンタジー小説の主人公みたい!」

瑞希が興奮気味に言った。


朧は仲間たちの予想以上の反応に少し戸惑いながらも、内心では誇らしさを感じていた。魔法の威力に自分自身が驚いていたが、仲間たちもそれを認めてくれたことで、さらに自信がついた。


「ありがとう。でも、まだ使いこなせてるわけじゃない。MPの管理とか、もっと練習が必要だと思う。」朧は照れくさそうに答えた。


「そうだな。でも、今のところ朧の魔法は俺たちの最大の武器だ。これからもっと強くなれると思うぞ。」


仲間たちの励ましを受けて、朧は魔法の可能性に胸を高鳴らせた。

その瞬間、3人が一斉に朧に向かって熱心に話し始めた。


「俺も早く魔法を覚えたいよ!」健が興奮気味に言った。


明も頷きながら続けた。

「俺も同感だ。朧の魔法は本当に頼りになる。俺たちもいつか魔法を使えるようになるのかな。それまでは、朧の力に頼らせてもらうよ。」


瑞希は少し照れくさそうに、でも素直な口調で言った。


「朧の魔法、すごかったわ。私もいつか使えるようになりたいな。でも、あんまり調子に乗らないでよね。魔法だからってきっと万能じゃないんだから。」

朧は微笑みながら答えた。


「みんな...ありがとう。みんなで魔法を使えるように頑張ろう。瑞希も一緒に頑張ろうね?」


「ふん、当たり前じゃない。私だってちゃんとやるわよ。」

瑞希は少し赤くなりながらも、嬉しそうな表情を隠せていなかった。

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選ばれざる無冠の叛逆 ボンドマン @Arkone0615

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