最凶の魔王に転生した僕、人間の魂を『コスト』に変換するぶっ壊れスキルで、人類を征服しようと思います。

菊池 快晴@書籍化進行中

第1話 『勇者』か『魔王』

 ――『勇者』と『魔王』どちらを選びますか。


 声が、聞こえる。


 女性のアナウンスだ。


 ――『勇者』と『魔王』どちらを選びますか。


 どこかで聞いた事がある。


 なんだっけ。


 ――『勇者』と『魔王』どちらを選びますか。


 ああ……思い出した。

 僕が好きなゲームか。


 ならば、答えは決まっている。


 ――『勇者』と『魔王』どちらを選びますか。



 僕は『魔王』を選ぶ。


 ――承知致しました。それではお楽しみくださいませ。


 ――――

 ――

 ―


「……う」


 頭が痛い。呼吸ができない。咳き込んでしまって、ゴホゴホと声を漏らした。

 そこで、視界が開けていく。

 

 地面が見えた。黒い土、草はまばらにしか生えていない。

 周囲を見渡す。まるでゲームの神殿のようだ。だけどボロボロで、壁なんて穴がいて外から光が漏れている。


 いや、天井もだ。空を見上げると太陽が見えていた。

 ここはどこだ? 一体……。

 そのとき、壊れたガラスに映った自身の姿に気づく。


「……嘘だろ。これ僕なのか」


 綺麗な白髪、純粋なブルーの目、背は小さく、人間でいうところの五歳くらいだろうか。

 そして額、前髪を上げると、見慣れた紋章。


 この姿は『エルドレストリジー』の『魔王』じゃないか。


 ありえない。どうして。いや……そういえば僕はアナウンスを聞いて、『魔王』を選択した。


 そして思い出す。自分の名前を。



 僕は、田宮真尾たみやまお、年齢は17歳。

 生まれたときから心臓病を患っていて、生涯のほとんどを病院で過ごした。


 小学生のときくらいだろうか。まともに学校へ行けたのは。


 窓から外を眺めたり、退院する人を見て羨ましかった。

 僕も、外でめいいっぱい遊びたいと。


 そんな僕にもできるものがあった。

 それはゲーム。特に好きだったのは、『エルドレストリジー』。

 よくある異世界ファンタジーといえばそうなのだが、プレイヤーは最初に『勇者』か『魔王』を選択することができる。

 『勇者』はレベル1からスタートし、レベルアップを重ねてステータスを向上させ、仲間と出会い、魔族を倒して最後のボス魔王を倒せばゲームクリアだ。

 面白いのはこのゲームの自由度が計り知れないものだったこと。


 家を購入したり、結婚したり、幾千もの選択肢の中から行動が可能だ。

 それを可能にしているのは、ゲーム内に構築されている最新鋭のAIだった。

 村人までもが自由意志を持っているかのように動き、それが無限の選択を産む。

 クエストだって、ゲーム制作者が意図していないものが出来上がる。


 そして何より人気が出た秘訣は『魔王』が選択できること。


 これは、本当に革命的だった。


 『魔王』にはレベルという概念がなく、代わりに『コスト』が存在する。

 スタートは『100』から始まり、『コスト』を消費することで様々な『配下ユニット』や『能力スキル』を得ることができる。

 例えば創作物でありがちな魔王四天王を作ろうと思ったらそれなりのコストが必要だ。

 ちなみにスライムは『1』ゴブリンは『2』で、主に戦闘能力や風貌によって『コスト』がかかる。

 ほかにもステータスがバフされる称号だってある。

 これは、僕たちゲーマーの心を躍らせた。

 魔王のゲームクリアは、『エルドレストリジー』の世界を全て統治し『勇者』を倒すこと。

 その過程で倒されてしまえばゲームオーバー。

 特に『勇者』は最後まで放置していると仲間を集められてしまうので注意も必要だ。


 『魔王』のレベル1はいわゆる子供、人間でいうショタのような恰好をしている。

 『コスト』を使用して自身の能力を強化すれば成長するし、身体をいじれば悪魔のようにもなれるのだ。


 そして何よりも大事なことがある。

 魔王はレベルアップの概念がない。

 ならばどうやって『コスト』を増やすのか? もちろん『配下ユニット』や『能力スキル』を作製、取得すると減ってしまう。



 そしてレベルアップの概念がない魔王がどうやって『コスト』を増やすのか。



 それは――人間を殺すことだ。



 ――――

 To Be Continued

 田宮真尾たみやまお

 称号:『魔王』

 コスト:『1000』

 魂を奪うことで『コスト』を増やすことができる。

 能力:『ユニット』『全てを統べし者オールアウト』『支配コントロール

 コストを消費して、様々な配下、能力を生成、習得することが可能。

 







 ――――――――――――――――

 年末だよ! カクヨム10だよ! 新作投稿だよ!

 書き溜めまで毎日更新します。


 タイトルはおそろしいですが、そんな悪い魔王じゃないです、すみません。

 右も左もわかりませんが、見て頂けるとありがたいです。


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