気に入られたようです!
興奮冷めやらぬままにリリー様の案内で俺はとある部屋に通された。
「詳しいことは後でお父様を混じえて話すつもりなのでとりあえずは一旦この部屋で休んでいてください。」
「わかりました。」
「それでは。」
そういうとリリー様は部屋の扉を閉じてどこかに行ってしまった。
しかし休むったって…ねぇ。
どう考えても高いだろうベッドに何やら見たことは無いがとても精巧に彫られた生き物がいる椅子やらがあちこちにある。とてもじゃないが休めるような場所では無い。
ていうかそんなことよりも早く体を洗いたい…。一日中動いたこの体ではとてもじゃないが貴族の当主と会う身だしなみでは無いだろう。それに一応日本人であるので体のベタつきが気になってしまう。
俺は部屋を出て近くにいたメイドさんに風呂に入っていいか聞くと案内をしてもらい一人で戻れるか不安なものの風呂場まで着いた。
俺は案内をしてもらったメイドさんにお礼をして服を脱ぎ風呂へ入っていくのだった。
――――――――――――――――――
私はスレイさんを来客用の部屋へ案内したあとお父様の部屋へと向かった。
部屋の前に着くと私は扉をノックした。
―コンコン
とノックすると中から
「入って良いぞ。」
という声がかかったので私は扉を開けて中へと入った。
「お父様。無事に戻れました。」
「リリィ。無事に帰ってきてくれて本当に良かった…。最初に知らせを聞いた時は気が気じゃなかったんだぞ!」
「それでも今は無事に戻ってこれたんですし良かったと思いましょう!」
「……そうだな。それで…先に聞いていたリリィを救ってくれた男は今この屋敷にいるのか?」
「はい。今は来客用の部屋で待っています。」
「そうか。なら後で会いに行くとしよう。」
「それでその彼の事なんですが…」
「どうしたんだ?」
「まだあの街に来たばかりらしく宿を取っていなかったらしいので数日間ほどこの屋敷で過ごしてもらいと思っているんですが…いいですか?」
「まぁそれくらいなら大丈夫だ。
あ、それと亡くなった騎士たちの遺品はしっかりと持ってきたか?」
「はい。」
「ならば後でメイト達に遺品を渡しておいてくれ。」
「わかりました。」
「ではリリィも少し休みなさい。少ししたらメイドに呼びに行かせるから。」
「ではお言葉に甘えて…」
そう言い私はお父様の部屋を出た。その後お父様に言われた遺品をメイドに渡すということをしてから自分の部屋へと戻った。
――――――――――――――――――――
あの後風呂に入った俺は待機してくれていたメイドさんにまた案内をしてもらい先程の部屋へと戻ってきた。
部屋に戻ってきた俺は特にやることも無いため部屋にある高そうな小物やなんか飾ってる剣などを見ていると
「スレイさん。当主様がお待ちです。案内致しますので着いてきてください。」
というお声がかかったので俺は部屋から出て呼んできたメイドさんについて行くことにした。
そうして案内された部屋には先程別れたリリー様とおそらく当主様だと思われる男の人が座っていた。
「よく来たね。スレイ殿。先ずは我が娘を助けてくれたことを感謝しよう。」
そう言いリリー様のお父様がいきなり頭を下げた。
それを見てたまらず俺は
「頭を下げないでください。」
と言った。
「では……。さて自己紹介をしないとだな。私は当主のギルバート・モンテカルロ伯だ。……あぁ、貴殿は娘を救ってくれた恩人なのだし言葉遣いなど気にしなくて良いからな。」
良かった。礼節なんてものはあまり分からないし…
「そう言って貰えるとありがたいです。」
「うむ。……前置きはここまでにして…あとはご飯を食べながらで話そうじゃないか。」
そう言われた俺は用意されている椅子に座ることにした。
いざ食べ始めてみるとさすがは貴族だ。料理が美味しい。
「ところで…スレイ殿は何か欲しいものはあるか?」
と食べ始め出すと当主からこう聞かれた。
「今のところはありません。」
と先程リリー様にも答えたような返しをした。
「そうか。ならお礼はまた考えておいてくれ。そしてそれとは別にスレイ殿が泊まる場所を決めるまではこの屋敷で過ごしてくれて良いからな。これはお礼と別だ。」
となんと当主様からここに泊まっていいというお墨付きを貰った。
「ありがとうございます!」
お礼を貰う気は無いが泊まる場所を決めていなかったのは事実なため泊めてくれると言うのはとてもありがたい。
「冒険者活動はこの近くにある町で行うことになってしまうが大丈夫そうかね?」
「はい。特にこだわりは無いので…」
「それなら良かった。それにしてもスレイ殿はとても謙虚だな。言い方はあれだが私のような者からお礼を貰えるとなるとほとんどの者は遠慮することなく要求するのだが…。」
「前なんて私を手に入れようとした人もいるくらいなんですよ!」
「あんなのは即刻金貨を持たせて返したがな!」
いくらお礼とはいえ伯爵の娘を要求するなんて頭おかしいヤツもいたもんだな。
「とにかく、スレイ殿は人を助ける心だけでなく欲を出さないしっかりとした人だということがわかった。宿やその他の色々なことが決まるまではゆっくりとしていくといい。」
と言われギルバート様は部屋を出ていこうとした。
「あぁ、それと私のことは様付けなどせずにギルバートさんと呼んでくれて構わない。」
といい今度こそほんとに部屋を出ていった。
そしてそれを聞いたリリー様も
「あ!なら私もリリィとお呼びください!」
と言ってきた。正直偉い人にフランクに接するなんてできるのか不安だがお願いされたからには頑張る…つもりだ。
というか当初の話からだいぶ良くなっているのは気の所為だったりするのかな?
次の更新予定
異世界に来て女の子を助けたら俺の知らないところで悪の親玉(善)になってしまった! スパルタンEX @gerogerosama0608
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界に来て女の子を助けたら俺の知らないところで悪の親玉(善)になってしまった!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます