助けたお礼に招かれた!


 その後俺とリリー様は援軍と共に帰ってきた騎士たちと共にモンテカルロ伯の屋敷に向かうことになった。


 この街から屋敷までは半日ほどかかるらしいのでその間俺は何故かリリー様と同じ馬車の中にいることになった。


「ところでまだあなたの名前を聞いていませんでしたね。」


「そうでしたね。私はスレイと申します。」


「スレイさんですね。それで今日来たということはやはり冒険者なんですか?」


「はい。と言ってもまだ駆け出しでほとんど戦えないですけどね…。」


「そうなんですか……。ということはスレイさんはなにかスキルをお持ちなんですか?」


「ええ、まぁ。」


「そうなんですね!スキルを持っている人はあまり見かけないのでなんだか新鮮です!」


「え?そうなんですか?」


「はい。スキル持ちなんて数万人に一人ぐらいですからね。もしかして…知らなかったんですか?」


 まずい…もしかしてこのことはこの世界では常識だったりするのか…。こうなったらお約束のあの設定で何とかするしかないか。


「実はあまりそういうことを知ることが出来ないところで育てられまして…あまり世間の常識が分からないのです…」


「そうなのですね!ならば私がある程度のことを教えて差し上げましょう!」


 よし!何とかいけたぞ。それに色々と教えてくれそうだしこのまま教えてもらうか。


「ありがとうございます。」


「ではまずスキルについてですね。

 スキルというのは先程も言ったように数万人に一人の確率で手に入るものでこれを教会では祝福と言ったりしています。そしてこのスキルの最大の特徴は同じものは存在しないということです。なので多くの場合その人の切り札になるものがスキルです。そしてスキルは直接相手に傷を与えるものはないというのも特徴の一つです。

 ここまででなにか質問はございますか?」


「一つだけ。

 直接相手に傷をつけないと言うことは相手の行動を制限したりとかができるものはあるという事なんですか?」


「はい。」


「なるほど。ありがとうございます。」


「それでは次に…この国のことは知っていますか?」


「あー…すみません。それも知りません。」


「大丈夫ですよ。では次は簡単にこの国とその周辺のことを教えますね。」


「お願いします。」


「まずこの国はバンデンバイン王国と言って建国から600年ほどたっているそこそこ大きな国です。そして私の父であるモンテカルロ伯爵は辺境伯と言ってこの地域一帯を王家から任されているため実質小国のような状態なんです。」


 え、王家みたいなもんなのかよ!


「そして我が国の東の方にあるのは長年小競り合いをしているのはコロラド帝国と言いいくつもの小国を併合して今では一番国土が大きい国です。

 そして我が国と帝国の下に神秘の森という大森林があります。ここには森人エルフやフェンリルなどの聖獣、更には古代竜族エンシェントドラゴンと呼ばれる伝説の種族が住んでいると言われています。私たちはたまに来る森人以外とは関わりを持っていないので詳しいことは分かりませんがとても人が生きているような環境では無いと言われています。

 ここまでは大丈夫ですか?」


「何とか…」


「それでは次に今度はこの国の西にある国をアルテミア神国と言いいわゆる宗教国家です。ここは教皇が治めていてその下に枢機卿や大司祭などがいます。ただこの国は閉鎖的なのであまりどういうところなのかはわからないです。

 そして最後ですがこの国のだいぶ上の方にあるのが魔王領と呼ばれるところです。昔はこの辺りにいくつもの国があったらしいのですが魔王が現れてから滅ぼされてしまい今から100年ほど前に魔王軍との戦争が起きてその結果今は魔王がこちらに進軍していないという状況です。」


 うーむ…よくわからん。


「とりあえず覚えておいて欲しいのはこの国と帝国くらいですね。大丈夫そうですか?」


「何とか…とりあえずまずはこの国のことを覚えてみます。」


「それがいいと思います。」



 その後も俺はこの国の詳しい内容などを教えて貰いつつ馬車に揺られながら屋敷へと進んでいき半日ほどたちやっと屋敷へとたどり着いたのだった。




「でっか!」


 と思わず口から出てしまったがそれほどでかかったのだ。


 まず入口の門から本館と思われる屋敷の扉までの距離が長い。そしてそこにたどり着くまでに見える庭園は非常に整っており特に壁を囲んでいる木はまさに芸術だ。遠くから見ると全く狂いがないくらいに同じ形で全てが整っている。


 そして屋敷自体もでかい。高さ自体はそこまでだが何より装飾がすごい。入口にある柱には何かわからないが柱を支えている人が掘られておりよく分からないがすごい。そして窓一つ一つに恐らく金だと思われる装飾がされており太陽?の光が反射しておりとても眩しい。


 俺の語彙力じゃ表すことが出来ないがとにかくすごいのだ。


「ふふっ。……では、ようこそモンテカルロ家へ。」


 と驚いている俺を見ながらリリー様は言ってきた。


「よろしくお願いします。」


 と、俺は惚けた顔をしながら答えた。


 そうして屋敷の中に入ると外ほどの豪華絢爛さはないが、置かれているもの一つ一つにホコリが全く付いていないように見え、煌びやかでは無いものの一つ一つがいいものだと言うのがわかる。


「「「「お帰りなさいませ。」」」」


 という声が聞こえそちらを見ると貴族と言えばというようにメイドや執事がいた。


 貴族ってすっげー!


 ――――――――――――――――――



 簡易的な国の位置です。


  魔王領




  帝国 王国 神国


大森林




 こんな感じです。


 空いているところには小国があったりします。

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