困っている人は助けるしかない!
あの後俺はどうにかしてこの結果を変えられないか頑張ってみたが無理だった。
諦めた俺は仕方が無いのでとりあえず薬草を探すことにしたのだ。
このスキルの怖いところはあくまで運命が変わるということがわかるだけであってそれがいつどこで何が起きるかと言うのは全く分からない。なので俺は薬草採取中の今、限界まで周りを気にしているのだ。
だからだろうか。何やら奥の方で人の声が聞こえてきた。それにプラスで金属が当たる音も。
その音を聞き俺はすぐに逃げようと思ったがこれがもしダイスの効果によるものならば逃げても無駄なのではないかと考えた。そこでどうせ逃げられないのならば確認してみようと思い音のした方へ向かうことにした。
近付いてみるとやはり戦っていたようで片方はいかにも騎士風な人達でもう片方は服装もバラバラで恐らく山賊だろうという風貌の人達だ。
方や統制も取れている装備がしっかりとした人達。方や装備もバラバラであまり統制も取れていないような山賊。
こう聞くと騎士の方が勝っていると思いそうだが実際は騎士が押されているようだ。
助けに行きたい気持ちはやまやまだがあいにく俺はまだそこまで強くない…。ただ幸いなことに俺はまだ気付かれていいないためとにかく助けを呼びに行くことにした。
ここまで来た道をなるべく音を立てないように戻り街まで着いた俺は入口にいる衛兵に見たことを伝えた。
それを聞いた衛兵は俺に少し待つように伝え何やらやり取りをしたあと数人の兵士を連れてこちらへ戻ってきた。
「その場所まで案内してください。」
と言われたため俺了承をし、先程まで見ていたことを詳しく話すことにした。
「俺が見た感じですが騎士たちは後ろにある馬車を守っていました。」
「おそらく奴らの狙いはその中にあるものだろう。……君にこんなことを頼むのは申し訳ないがいいかい?」
「内容によりますが…」
「こちらが騎士たちと共に山賊と戦っている最中にこっそりと馬車に向かって言って中のものを救って欲しいんだができるかい?」
「戦わなくてもいいならできると思います。」
「ならお願いしたい。」
などというふうに現場を着いた時どうするかを決めつつ俺たちはさっきの場所まで向かうのだった。そうして先程のところまで戻ってくると金属の当たった音が聞こえてこなくなった代わりに何やら話し声が聞こえてきている。
兵士と俺は先程よりも近づいてみると倒れているのは山賊ではなく騎士の方だった。ただ唯一良かったのはまだ全員が倒れている訳では無いということだ。
それを見た兵士たちは残りの騎士に助太刀する形で入っていき俺はその後ろから馬車の中のものを救うということになった。
何とかバレずに馬車の中までたどり着いた俺は中に入ることにした。中に入るとそこには心配そうに外を見ているパッと見でわかるくらいには高貴な服を着ている女の子がいた。
「あなたを助けに来ました!」
と声をかけると外を見ていた女の子がビクッとしてこちらを向いた。
「っ。ビックリしました…。」
と言った後
「あなたは……なるほど。ならお願いしますね。」
とすぐに落ち着き俺が助けに来たことを納得したようだ。俺はすぐに扉を開けて彼女の手を引き再びバレないようにゆっくりと静かに森の中に入っていった。
少し進みバレないだろうところまで着くと俺たちは一息付き、
「大丈夫でしたか?」
と聞いた。
「私は大丈夫ですよ。ただ……騎士たちが心配です。」
「それなら安心してください。援軍を呼んだのでもう大丈夫です。」
「それならいいのですけど…」
「とにかく私たちは襲われない街へと向かいましょう。」
そういい俺たちは一息ついたあと街へ向かって再び走り出した。
街へ着くと既に援軍は出発したようで事情を知ってる兵士によって俺と彼女はすぐに迎えられた。安全な場所まで来れたためか彼女は俺に自己紹介をしてきた。
「私はこの街一帯を治めているモンテカルロ伯の娘でリリーと言います。先程は助けて頂きありがとうございます。」
なんと。見た目的にそこそこの地位にいるだろうということは予想していたがまさかここの主の人だとは…
「いえいえ。私は戦う力がなかったので人を呼びに行くだけだったので…お礼ならぜひ兵士たちにお願いします。」
「それでもそのきっかけはあなたが作ってくれました。もちろん兵士たちにもお礼はしますがあなたにもお礼をさせてください。」
まいったな。もちろん人を助けたことを悔いているわけではないが偉い人に目をつけられるというのは望んでいない…。
ただこういう場合お礼を断ると失礼にあたる場合があるということを見たことがある。
先延ばしにすることも考えたがここで縁を持ち続けるのも得策では無いし…どうしようか。
「わかりました…。お礼は受け取らせて頂きます…が、まずはリリー様もお体を休めたりした方がよろしいと思うので詳しい内容はまた後日ということでよろしいでしょうか?」
「確かにそうでしたね。ちょっと性急すぎました。ではまた後日人を寄越しますので今暮らしている場所を教えてください。」
そう言われたので俺は
「えーっとですね…実はこの街には今日来たばかりなので宿をとっていないので…。」
そう答えると
「そうだったんですか!それならば数日の間だけですが屋敷に泊まると言うのはどうでしょうか?きっとお父様も許してくださるはずです。」
と彼女は提案してきた。
「あー…ならお願いします。」
彼女の澄んだ瞳で見つめられた俺はたまらずその提案を受け入れたのだった。
なんかどんどん関わりが深くなっているような…
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