異世界に来て女の子を助けたら俺の知らないところで悪の親玉(善)になってしまった!

スパルタンEX

異世界に来た!


 突然だが俺は先程転生した。

 何を言っているかは分からないと思うが俺もまだよくわかっていない…。


 簡単に説明するとどうやら俺は誰かを助けたために代わりに死んでしまったようだが正直その時の記憶はない。このことも俺を転生させてくれた神に教えてもらったことだしな。


 ただその時に神から一つだけ世界に影響を与えない程度で提示された中から好きなスキルを貰えることになった。

 そこで俺は運命改変ランダムダイスというスキルを手に入れた。


 簡単に説明すると一日に一回100面ダイスを召喚?することが出来て、それを振った結果がその日の自分の運に変換される。というものだ。

 基準は50で数字が小さければ小さいほど運が悪くなり高ければ高いほど運が良くなる。

 そしてこのダイスは必ず振らないと行けない訳ではなくあくまで一日に一回チャンスがあると言うだけで振りたくなければ振らなくてもいい。


 ちなみにこれ以外にも結構たくさんのスキルがあったがそのほとんどが俺には使えなさそうな難しスキルなため消去法でこれにした。


 俺の目標はあくまでスローライフなのだ。前世ではブラック企業で毎日残業に次ぐ残業だった。だからこそ今世ではゆっくりと過ごしたいというわけだ。神が言うには特に魔王の討伐とかもしなくていいらしいので非常にありがたい。



 そうしてスキルを決めた俺は先程この世界に降り立ったというわけだ。

 その時に神様から

「あの時代に生きた君にとって今から行く世界はあまり衛生的じゃないと思うからこれ付けとくね。」

 と軽いノリで状態異常完全耐性とかいう明らかにやばいものを貰った。

 

 いざ降り立ち周辺を歩きながらどんな感じか見ていると、よくあるナーロッパだがテレビのようなものもあるため多少技術はあるっぽい。


 周りを見渡しながら俺はこの世界で暮らすための軍資金を得るためギルドへ向かうことにした。

 いくらスローライフがしたいと言ってもそこに行き着くまでにはある程度自分で頑張らないといけない。


 ありがたいことに神から最初はどうするといいかなどは教えてもらったため、自分の身を守るためにも1年ほどは冒険者をしてお金を貯めることにする。


 ギルドへ着いた俺は早速ギルドに登録するために受付の方へ向かった。


「ご要件はなんでしょうか?」


「冒険者登録をお願いしたいのですが。」


「かしこまりました。……それではこちらに記入後またこちらにお越しください。」


 と言われ紙を受け取った。


 どうやらここに名前や自身の得意なポジション、そして任意だがスキルを所持しているかを書くようだ。

 少しして書き終わった俺は再び受付の方へ向かった。


「こんな感じでいいですか?」


「…はい。こちらで問題ありません。最後にこちらに手をかざしてください。」


 そう言われ俺は謎の石の板に手をかざすことになった。


「……これで冒険者登録は完了です。カードが出来るまで1時間ほどかかりますのでそれまではこのギルドで待っていてください。それと…これをどうぞ。」


「これは?」


「これはギルドの詳しい説明が書かれている冊子です。」


「そうでしたか。ありがとうございます。」


「では1時間ほどたったらお名前を呼びますので必ず来てください。」


 そう言われ俺はギルドに併設されている酒場に座って時間を潰すことにした。もちろん神から貰ったお金を払って軽食を買って座ったからな。


 そうして席を確保した俺は先程貰った冊子を読むことにした。それにしてもこれだけ人がいるんだったら口頭で説明するよりもこういうものを配った方が楽なのか。


 そして貰った冊子を読んでいる俺は要点をいくつかまとめてみた。


 大切そうなのは主に3つで1つ目は


 ギルドのランク制度についてだ。

 ギルドランクには8つに分けられていて下から

 アイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤ、ミスリル、オリハルコンだ。

 そしてアイアンからプラチナまでは実力で上がれるがダイヤ以上はギルドに所属しているダイヤ以上の冒険者からの推薦とギルドが置かれている国の伯爵以上の推薦が必要になる。

 2つの推薦が必要な理由は恐らく貴族の暴走を防いだり逆に冒険者の不正なランクのつり上げを防ぐためなんだろうが組まれたらおしまいな気もする。


 そして2つ目は依頼の種類だ。


 依頼には主に4つあり

 通常依頼、緊急依頼、指名依頼、特別依頼だ。

 通常依頼は名前の通りほとんど常に掲示されている依頼で自身のランクに応じて受けれる。

 緊急依頼は緊急とあるように、例えば街に魔物が来るというような通常では無い時に出される依頼だ。

 指名依頼は貴族や商人など、個人やパーティーに対して指名をされて依頼を受けるものだ。

 特別依頼は言ってしまえば王族やそれに連なる者の指名依頼というもので基本的にミスリル以上に対してくるものだ。

 通常依頼は自身の1つ上まで受けることができ、緊急依頼はギルドか指定したランク以上の人達が受けられる。


 そして最後はパーティーとクランについてだ。


 パーティーは名前の通り2~5名程で組むものでこのメンバーの平均がパーティーランクとなる。

 そしてクランはダイヤ以上のランクの人が作ることの出来るものだ。

 クランを作るメリットは何個かあるらしくそのうちの一つに同じ目的を持った人たちが集まって動けるというものがある。

 例えば自分たちじゃ進めないようなところもクランに入ることで分担して進むことが出来たりなど利点が多い。

 その代わりクランには月に1度ギルドから状況を確認されたり一定額を払ったりなど何かと制限もある。


 この他にもギルドの買取についてだったり色々なことが書かれていたが覚えておくべきことはこのぐらいで良さそうだ。


 そんな感じでギルドの冊子を読んでいると名前を呼ばれたので再び受付へと向かった。


「こちらがあなたのギルドカードになります。これを提示することで関所を通ったり身分証になったりするので無くさないようにお願いします。また不正防止のため数年に一度は必ずギルドに訪れてカードの更新をお願いします。なにかご質問はございますか?」


「大丈夫です。ありがとうございました。」


「ではこれから頑張ってください。」


 ということで無事に冒険者になれたようだ。

 と言っても無双してやるぜ!なんてものは考えていないのでそこそこ稼いでそこそこの強さで過ごしていくつもりだ。


 せっかくだし簡単な依頼を受けつつこのスキルを試そうと思う。

 俺は早速近くにあった薬草採取依頼を取って街の外へと向かう。

 そして街の外へと出た俺は周りに人がいないのを確認してスキルを使った。


 すると手のひらサイズのダイスが出てきたので俺はそれを地面めがけて投げた。

 投げられたダイスは百という面の多さと投げた場所が水平では無いことが合わさりしばらく転がっていたがやがて止まった。

 俺はそのダイスを上から見下ろしてみるとそこには『10』というとてもじゃないが喜べない数字が見えた。


「いきなり!?」


 と俺は思わず叫んでしまった。幸先悪すぎだろう…

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