第2話 芽吹く可能性

クラブオリエンテーション、通称クラオリ。

それはこのセントリア女子学園にある30個ほどの部活すべてが、新入生を勧誘するためにこの「トルカッチャホール」(講堂みたいな場所)で魅力を紹介する、というイベントだ。私たち中1は観客だ。


「これから今年度のクラブオリエンテーションを始めます。」

ぱちぱちぱち!とみんなが拍手するのに合わせて拍手をすると、早速部活紹介が始まった。


「バレー部です!バレー部では~」

「バスケ部です!バスケ部は~」

「陸上部です!こんなことをします!」

「テニス部です!」

「吹奏楽部です!」

「美術部です!」

「文芸部です!」

「天文部です!」

「合唱部です!」

などなど、たくさんの部活が紹介されていく。


ついに最後の部活紹介になった。

「最後は演劇部です!今からショート劇をやろうと思います!

演目は、”ロミオとジュリエット”です!」

(おぉー、私ロミオとジュリエット好きなんだよね)

色とりどりの華やかな衣装を着た人が舞台上に出てくる。

「おぉ、ロミオ...」

そう言ったジュリエットの声は透き通っていてホール中に響いていた。

「貴女は、どうしてロミオなの?」それは、どこか切なさと儚さを含んだ、まさにジュリエットが憑依したかのような。

とても、美しかった。

ロミオとジュリエットが出合い、運命を誓う。

パーティーで踊る貴族たち、そして離れ離れになるロミオとジュリエット。

出てきた演者はみなすごかった。それでも一番上手だったのは誰か、と問われたらジュリエット役の人だ、と私は答えるだろう。


「...以上で、演劇部の紹介を終わります!是非、演劇部に来てね!」

劇を見終えたとき、心に残るのはただただ高揚感だった。


「以上を持ちまして、クラブオリエンテーションを終わります。是非、様々な部活を検討してより良い学校生活を送ってください!」


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私立セントリア女子学園 幸原灯梨 @2asy11_31

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