まだそこにいた
紫音
第1話 まだそこにいた
大学の時分、集まって怪談話をしていた時の話。
女子大学生が飲み会の後、二次会を自宅でやろうということで1人の女子大学生の家に皆で行った。
自宅に招き入れた女の子は、仲間の中でもお酒に弱く、気づくと寝てしまっていた。
夜も遅くなってしまったことと、明日の講義もあることから、寝てしまった彼女を残し全員が帰ることとなった。
しかし、すっかり寝込んでしまった彼女を起こすことは皆気が引けたので、そのうち起きるだろうと一言彼女に声を掛け、皆一緒に家を出た。
各々の家に帰る道中、1人の女子大学生が先程の飲み会で彼女の家に忘れ物をしたと言い戻っていった。皆は暗い夜道を1人で大丈夫だろうかと心配はしたが、1人で大丈夫と駆けていった彼女を追うことはなかった。
明くる日、寝てしまった彼女を大学で見ることはなく1日が過ぎた。心配になり、彼女の家に皆が向かうとそこには、警察の規制線が張られていた。近くに居た警察に話をすると、どうやらアパート内の女子大学生が死体となり発見されていたというのだ。
皆一斉に言葉を失った。
1人の女の子が、
そういえばあなた、忘れ物をして戻っていったわよね?その時は何もなかったの?
と、忘れ物をして家に戻った彼女に声を掛けた。
彼女は何も見ていないと突っぱねた。
怪しむ一同。警察も少しお話を聞かせていただけませんか?と声を掛ける。
彼女は言った。
何も見てません。
警察が聞く。
では、何か変わったことはありませんでしたか?彼女の家を出た時と、戻った時と。
彼女は答えた。
変わったこともありません!...あ、彼女の家を出た時は灯りを消してなかったんですけど、戻ったら灯りが消えてました。でもそのくらいです。きっと1度起きて消したんだろうなと思いました。
警察が聞く
忘れ物はどこに置いてましたか?玄関から先の家の中に入りましたか?
彼女は答えた
いえ、玄関の靴棚にバックを忘れたんです。わざわざその為に彼女を起こすこともしたくなかったので、玄関をそっと開けてバックが見えたのでそれだけ取って帰りました。
警察は言った
...なるほど...
訝しげな表情を浮かべた警察官に気づいた女子大学生が聞いた
あの、彼女の言ったことには何か不思議な点があったとは思いませんけど、まだ何か?
いや...家の中に入らなくて良かったと思って...
どういうことですか?
実は、不思議なメモのようなものが残されていたんです。それで繋がりました。
不思議なメモ?
警察はそっとそのメモを見せた。
メモにはこう書いてあった
灯りをつけなくて良かったな
まだそこにいた 紫音 @purplemu49
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