第7話 攻略対象・ヒロイン消失
翌朝、牢屋へ行くとルズやヒロインはひどく醜い姿になっていた。
何をどう頑張ったらこれほど見た目が歪むのだろう、と思うくらい。
少しだけ、同情しそうになるくらい。
一体ラフィスは何をしたのだろうか。
攻略対象達が怯えたような瞳で私を見ている。
その日は、とても楽しかった。
痛めつけるたびに魔王城に響く苦し気で痛々しい叫び声が、あたりに飛び散る血肉が、全てが愉快に感じられた。
私は、それから毎日ヒロインや攻略対象達を痛めつけながら魔王としての職務をこなす充実した毎日を送っていた。
ある日、私がいつものようにルズとヒロインを痛めつけて、フィリオスという、二人目の攻略対象を痛めつけていると、フィリオスは、「くっ、魔王め。あの方に言いつけてやる。」と、言ったのだ。一体あの方とは何だろうか、と思い、「あら、あの方って、、誰かしら?」と聞くと、予想通りに「お前後時に教えるわけがないだろ」と言い返してきた。とても腹が立ったのでざくざくといつもよりも長く痛めつけた。
しかしある日、ヒロインや攻略対象達は牢獄から
気配を探ってみても、魔王城や魔国のどこにもいないようだった。
リーファ帝国にルミクナを送り、探ってもらったがどうやらリーファ帝国にもいないらしい。しかし、話によるとリーファ帝国では悪役令嬢の断罪を行っているらしい。ヒロインや攻略対象達が不在なのにもかかわらず、だ。これは無関係だとは思えない。そこで、誰が断罪をすると決めたのか、魔国の者に調べてもらったのだが、なかなかその存在がつかめないらしい。とても、怪しい。というか、その存在がつかめない時点で、自分がヒロインや攻略対象と関係があります、と言っているようなものなのだ。
そこで、私自らリーファ帝国へ向かうことにした。
流石に
どうやら、その調べてもらった魔国の者によると、ヒロインや攻略対象達の通っている魔法学園が怪しいとのことだった。なので、魔法学園にお忍びで行かなければならない。しかし、私は少女の見た目である。流石に教員にはなれない。と、すると、生徒として紛れ込むしかないのだ。どうやって生徒として紛れ込むのか、考えていたところに、ラフィスがやってきたのでそのことを相談すると、こんなこともあろうかと
っていうか、こんなこともあろうかとってなんだよ。
どんなこともあろうかとだよ。
まあ、何とかなりそうで良かったけど。
でも、魔法学園かー。
99回の悪役令嬢としての人生で毎回行っていたなー。
もう何回も何回も言っているから脳内に建物の地図あるような感じだよねー。
どんな部屋がどこにあるかとかかなり広いんだけど全部覚えちゃってるもん。
でも、まあ楽しみといえば、楽しみかなー。
「魔王様、私も一緒に魔法学園に行ってもよろしいでしょうか?」
ラフィスがきらきらと輝かせた瞳でそう言った。
「だめ。」
「なぜです!?」
ラフィスが驚いたような顔でそう聞き返してきた。
こっちがびっくりだよ。
まさかとは思うけど、一緒に行く気でいたのだろうか。
「だって、私が魔国に不在の間誰が私の仕事の代わりをしてくれるの?ラフィスしかいないでしょ?」
「くっ、ルミクナにやらせれば____。」
ルミクナ、とは私と同じくらいの強さを持つ、魔国の魔人兵を率いるルミクナ軍の将のことである。
「ルミクナはだめでしょ。あの子は私と同じくらい強いけど頭を使う系のことは何もできないって、ラフィスだってわかっているでしょう?」
「じゃあ、ヨルにやらせれば__。」
ヨル、っていうのは私の二番目の秘書のような感じでラフィスの次に頼りになる存在、だったよね。どうしようかな。
それなりに、頼りになるかな。
それなりに頭いいし。
「確かにそれもそうか。」
「じゃあ、ついて行ってもいいですか!?」
でもなー、こいつ問題行動起こさないよね?
なんか思考回路がねじ曲がっているところがあるから心配なんだよね。
大丈夫かなー?
「問題になるようなことをしなければ。」
「しません!」
まあもしも、問題行動になるようなことしようとしたら私が止めればいいよね。
「そうか。じゃあ、ついてきていいぞ。」
どちらにしても魔法学園にいくのに誰か従者一人連れて行かなきゃいけなかったし。
それがラフィスでも、まあいいか。
私はそう思い、魔法学園に行く準備をし始めるのであった。
99回死んで魔王としてよみがえった悪役令嬢はざまぁすることにした。 藍無 @270
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