幕間 ルミクナと魔王
「魔王様、報告にきたよー!」
元気な子供の声が広い部屋に響く。
「お、ルミクナか。」
「うん。」
「貴様、魔王様に敬語使え。」
ラフィスが腹を立てた様子で、ルミクナにそう言った。
「けいご_?」
それって何?おいしいの?
といった感じで、ルミクナが首をかしげる。
どうやら敬語を知らないようだ。
「まあ、使わなくていいよ。ルミクナは私と同じくらい強いし。友達だから。」
「魔王様!?」
驚いたような顔でラフィスがこちらを見た。
別に、私だって敬語を知らない子供に無理やり敬語を使わせるほどの鬼畜ではないのだ。それとも、そんな鬼畜だとラフィスには勘違いされていたのだろうか。
だとしたら、心外である。
「あの、報告いーい?」
あのー?とった感じでルミクナがそう言った。
「ああ。」
「まずリーファ帝国だけど、第一王子のルズや聖女サマ、フィリオス、ロキの四人は行方不明ってことになっているみたいだよ。王城に忍び込んでみたりとかもしたけど、どこにもいなかったよ。」
聖女サマというのは、ヒロインのことである。
そして、第一王子とフィリオス、ロキは攻略対象達である。
「そうか。どこら辺が怪しいかとかわかるか?」
「探ってみた感じでは少し、魔法学園あたりが怪しいかなー。」
「なるほど。では、そこに忍び込んでみるか。」
「おお!魔法学園いくの!?楽しそうだねー!あたしも行きたいなー。」
「ルミクナはだめだ。そうしたら仕事が溜まってルミクナの配下にかかる負荷が増えるだろう。」
「えー?別にそんなのいいと思うんだけど。ね?」
ルミクナは怖い笑顔で背後にいて存在感を完全に消していた配下にそう言った。
「あ、はい。」
怯えたような顔で配下はそう言った。
なんだか少し可哀想だ。
今度からは、少し優しく接してあげようかな。
「まあ、それはさておき、今度魔法学園に行こうと思う。まあ、公には言わないが。」
「おっけー!じゃあこの場にいる者のみの秘密だね!」
ルミクナはにこにこと笑ってそう言った。
そして、背後を振り返り、かわいらしい仕草で、ここで起きたことを他の奴に言ったら殺すぞ、と配下に耳元でささやいたのはルミクナと配下以外誰も知らない。
「じゃあ、帰っていい?」
「あ、でもクッキーあるからよかったら食べて行って?」
「本当!?やったー!私クッキー好きだよ!」
ルミクナは無邪気な笑顔でそう言って机の上にあるクッキーをほおばった。
リスみたいに頬いっぱいにほおばっていてすごく可愛らしかった。
ルミクナって、小動物みたいでかわいいなー、と心の中でそう思っていしまったのは内緒である。そして、他にも情報をクッキーを食べていく中で思い出したようにぽろぽろと話し始めた。
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