仮面をかぶった操り人形は恋してしまった
藍無
第1話 操り人形
「おい、
「なんでしょうか。」
「このままでは、我が家は没落してしまう、と占い師が言っていたのだが。」
そんなものを信じるのだろうか。
「それは信じられるのですか?」
「ああ。そこでだ、お前に頼みたいことがある。」
「何でしょうか?」
「この国の第一王子をたぶらかして婚約者になってこい。」
「へっ?」
どういうことだろうか。
「今度、仮面舞踏会がある。その時に、たぶらかして婚約者になってこい。」
「お父様、そんなことをいっているのがばれたら不敬罪で捕まりますよ?」
「ああ、お前も私も胴と首が泣き別れになるだろう。だから他には言ってくれるな。お前は私の頼みを今まで断ったことはあるまい。引き受けてくれるな?」
そんなことを聞いているけど、私が断ったら殺すつもりでしょうね、っていうか、今まで断ったことがないのは、断ったら暴力を振るわれるからよ。
わたしだって痛いのは嫌だし、年々断ろうとするとやってくる罰が重くなっているのよね。いわば運命共同体ってやつですか。
まあいいや、私に心なんてないし。
心があったとしても尊重してもらえる環境ではない。
もしもこのことがばれて、不敬罪で捕まって殺されそうになっても、その時に何かを感じることができればそれでいいのだ。いや、むしろつかまって、殺されそうになれば、何か、心を感じることができるかもしれない。それなら、お父様の案に乗るのがいいだろう。
「はい。わかりました。」
私はそう言って、お辞儀をした。
それをみて、お父様は満足そうにに微笑んだ。
さて、第一王子をどうやって、たぶらかしましょうか―――辺境伯爵の娘の身分で。
仮面をかぶった操り人形は恋してしまった 藍無 @270
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。仮面をかぶった操り人形は恋してしまったの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます