異世界いってもコミュ障は治らないけど、チート級のヒロインといればなんとでもなるよね
悠遠奏音
プロローグ 頭のおかしい世界
__俺はこの世界を、どう解釈すればいいのだろう。
俺は鬱蒼とした森の中、魔女の格好をした女の子と見つめ合っている。
見つめ合っているといっても、互いを思い合っているわけではない。
彼女とは初対面。
今日、初めて顔を合わせた赤の他人だ。
名前はもちろん知らない。
素性も、性格も、好きなものも嫌いなことも、何もかもが俺の知識外の情報だ。
唯一、彼女に関する情報として分かること。
それは顔だ。
それはそう。なぜなら見ればわかるから。
可愛い。
「…………」
「…………」
「○×△☆♯♭●□▲★※」
静かに見つめ合っている俺たちとは対照的に、周りはすごくうるさかった。
侵攻? 戦争? 分からないがその類のもの。
試しに首を右に回してみると、それはまあ大変なことになっている。
魔物? 見たこともない化け物たちが森を薙ぎ払いながら進んでいる。
空を見上げると翼を持った化け物たちで覆いつくされており、圧巻だ。
しかし、そんな恐ろしい化け物たちが進軍してきている中、こうして俺が少女と無言の時間を共有できている理由は明白だ。
それは化け物たちが一体も、ある境界を越えられていないから。
その境界を越えた瞬間、彼らは燃えたり、凍ったり、爆発したり、捻じれたり、とんでもないことになっている。
見えないものと戦っている魔物たち。
その末路はどれも悲惨なもので、燃えカスとなった彼らが地面に転がり、飛んでいる化け物は骸となって振りそそぐ。
とどのつまり、このうるささは魔族たちの断末魔。
一人でに死にゆく彼らの最期の叫びである。
まあ、カオスを極めた世界で見つめ合っていてもなにも始まらない。
とりあえず、状況を整理するために回想を挟むか……。
という訳で時は数分前、俺が煽りカス天使に四択を迫られているところまで遡る。
***
見つけていただき、読んでいただきありがとうございます。
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異世界いってもコミュ障は治らないけど、チート級のヒロインといればなんとでもなるよね 悠遠奏音 @SASAyomu5788
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