第37話 休む……って?
「とにかく! 今日は体を休めましょう。もうすぐ世界が完全消滅しようと、焦っては上手くいくものも上手くいきません。ワタクシノヨウニ……」
シエラはそう言い残し、リネルをおぶって食堂から出て行った。
「あんなこと言われても、時間少ねーんだから逆に焦るわ。な、セラート?」
「自分は食べ終わったら、次の空間に行」ゴホッ
「おいおい、ゆっくり食べるんだぞ?」
「次の空間に行くつもりだったけど、確かに今日は疲れた。全身が痛い」
「運動でもしてたのか?」
「うん。昨日の寝る前に腕立て伏せとかした」
「おっ、偉いな」
セラートが箸を置き、困り顔で両腕を摩り始める。
早速鍛え始めてんのはスゴいが、全身痛むまでやんのは……やっぱ気負い過ぎてるとしか考えられない。
「休むにはちょうどいいな。痛みが取れたとこからまた鍛えりゃ強くなれっぞ」
「分かった」
だがとんでもなく長い時間がかかるだろうな、しかしオレは妖精とは違う。
思ったことポンポンとは言わねー。
セラートの夢の後押しをしてやるべきだからな。
「セラート。今まではどう過ごしてたんだ?」
「本を読むくらいしか……。畜産業の二人とトランプやボードゲームもやってたけど、よく分からなかった」
「ん……城の中にはそういうのないな」
お互いに箸をピタリと止め、オレは考え始めた。
あれ、オレは何をセラートに聞いてんだ?
そもそも城の中で休めるような施設は風呂くらいだ。
飯食って、睡眠を取る。それぐらいしかできることはないんじゃないか?
「何悩んでんの? シヘタ、キミの固有魔法で休めるような部屋を作ればいいじゃんか」
勇者の言葉にハッとなる。
確かにそうすりゃあいいじゃんか。
「それで、休めるような部屋ってなんだよ」
「色々あるだろう? 例えばカラオケルーム、アミューズメントパーク、デカく作れるなら運動公園、遊園地とかもいいじゃんね?」
「アグレッシブなとこばっかだな」
「遊ぶのも休むのも同じようなもんだよ」
すき焼きの鍋をゆっくりかき混ぜながら、勇者は得意げに話す。
そりゃそうなんだが、あるだろ。
なんか、お花畑で昼寝とか……いいやメルヘン過ぎるな。
「そういえば、映画館。時々畜産業の二人が行ってた。すごく大きな壁に映像が映って、音も大きくて大迫力だって」
「そんじゃ、オレ様がイメージすっから。人形、部屋を作ってくれよ」
(ご主人さま)
「ああ、人形よ。映画館部屋を作ってくれ。扉は……そうだな、風呂場に続く扉の隣で」
(分かりました)
人形は食堂を出て行く。
映画館にはもちろん行ったことがない。
どんなとこなんだか。
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ディストピアで家畜扱いされてるケモミミヒロインを助けようとしたら、結局世界を壊しちゃいました。世界が完全消滅する前にスキルでどーにか作り直します。 ~スキル『増築』で魔王城はセカイになる~ 土皮畳 @I15UUA3
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