真実
翌日
公人は起きてニュースを確認した。すると、占いのニュースがやっていた。この星でも占いはやってるんだなと公人は思った。実は、宇宙全体で占いというものが太古の昔から流行っているのだ。占いで政策を決めている星がいるほど占いが流行っており、宇宙連合でも会議で決まらないことは占いで決めると決まっているのだ。基本的に星の政府や宇宙連合がやる占いは専用の占い師が占うが、民間人が遊び感覚で占いをする時はフォーチュレイという小型の機械を使って占う。公人はあまり占いを信じていないが、アスティーとペリーシャに勧められてフォーチュレイを買ってしまい、一応いつも持ち歩いていて困った時はフォーチュレイを使って行動している。
「今日何もすること無いしフォーチュレイで何するか占ってみるか。」
早速公人はフォーチュレイを使って占うことにしたようだ。すると、外に出たほうがいいという結果が出たので公人は出かける準備をした。準備をしていると、エアビションにニュースの速報が流れた。
「速報です。宇宙連合がツァートリベスに宣戦布告をしました。そして、宇宙連合がキリアラース系のスペースインターチェンジを封鎖しました。」
そのニュースは公人にとって衝撃的なものだった。宇宙連合が宣戦布告しただけならまだしも、スペースインターチェンジが閉鎖されたということはペステフィアに帰れなくなったということだ。公人は焦った。すると、とても大きい爆発音が聞こえた。窓の外を見ると、宇宙港がミサイルによって破壊されていた。公人は急いでホテルに併設されている地下街へ向かった。地下街に着くと、多くの人が避難してきており、公人はとりあえず空いてるところに座った。何度か地上から爆発音が聞こえるため、地下街に避難している人たちは不安そうにしていた。すると、急に皆が持っていたフォーチュレイが爆発したのだ。少しすると、地下街にあるエアビションに「宇宙連合がツァートリベスに輸出されるフォーチュレイに小型爆弾を着けた」と言うニュースが流れた。爆発の規模はそこまで大きくなかったが、多くの人がフォーチュレイを持っていたので負傷者が沢山出てしまい、地下街はさらに混乱が広がった。だが、なぜか公人が持っていたフォーチュレイだけが爆発していなかった。公人はなぜ自分のフォーチュレイだけが爆発しなかったか考えた。すると、ある1つの結論にたどり着いた。それは、宇宙連合が意図的に自分のフォーチュレイだけを爆発させなかったということだ。なぜ公人のフォーチュレイだけを爆発させなかったかは分からないが、考えられるのはそれか、もしくはただ爆発させるのを失敗したということだけだった。公人がそう考えていると、今までの爆発音よりも大きい爆発音が聞こえ、地下街に宇宙連合軍の兵士が入ってきた。兵士達は公人を含める地下街に避難してきた人達を確保し、地上にあるとても大きい宇宙船に乗り込ませた。宇宙船に乗り込まされたツァートリベス人達は1つの檻につきか6人で閉じ込められたが、なぜか公人だけ広い独房に入れられた。しばらくすると、独房に見覚えがある顔の人が入ってきた。公人は最初は誰かわからなかったが、少しすると誰かが分かった。その正体は、公人を拉致した張本人、ケーリヒル・アーリファターだった。
「久しぶりだな、公人。」
アーリファターは低い声でそう言った。
「アーリファターさん…どうしてここに…?」
公人は震えた声でそう言った。
「公人がペステフィアに来るときに何で自分を拉致しているのかと聞いていたな。しばらく経ったが、今答えてやろう。」
アーリファターは公人の質問を無視して淡々と話した。
「なんでお前を拉致したか、それは占いだ。」
「占い?」
「ああ、そうだ。20ネグリスバーン前、宇宙連合の占い師がこのままでは戦争によって宇宙のほとんどの星が滅びると言う占いの結果を出したんだ。どうすればそれを回避できるかというと、地球にいる公人という少年をペステフィアに拉致することだと占い師は言ったんだ。だが、第1文明の星の住民を拉致するなんて宇宙法に反することだから拉致することに対して反対する人もいたんだ。だが、その占い師は絶対にしないといけないと言うので、20ネグリスバーン後までに拉致した少年が何か成果を成し遂げられなかったら占い師と拉致した少年を処刑すると言うことで全員が納得したんだ。それでお前が拉致されたんだ。」
アーリファターはそう言い終わるとスペースピストルと言う銃を取り出し公人に向けた。
「もうすぐお前を拉致してから20ネグリスバーンが経つな。だが、その間にお前は特に何も成果を挙げられなかった。」
アーリファターはスペースピストルのトリガーに指をかけた。
「これがラストチャンスだ。お前のそのフォーチュレイでこれから何をすればいいか占え。そしてそのとおりに行動しろ。それで何か成果を挙げられなかったらお前を殺す。」
公人はそれを聞いて、震える手でフォーチュレイを取り出して電源をつけた。そして、これからどうすればいいか占った。すると、このような結果が出た。「目の前の人を殺せ」と。公人はアーリファターに近づき、銃を素早く奪ってアーリファターに向けた。
「何をしている?」
「占った結果、こうしろと出たので。」
「この私を殺すのか?」
「そもそも何でその占い師はそんなこと言ったんでしょうね。」
「は?」
「さっきの話ですよ。その宇宙連合の占い師は何でそんなこと言い出したんだろうって思ったんです。」
「なぜ私に聞く?」
「いや、もしかしたら戦争を起こしてるのは実はあなたなんじゃないかなって思ったんですよ。」
「なぜそう思うんだ?」
「このフォーチュレイって機械、ものすごく精度がよくて、フォーチュレイの通りに行動すると何でも成功するんですよ。だから、フォーチュレイがそういう占いの結果を出したのは、そういう理由があったからじゃないかなって思っただけです。」
「ははは、お前の勘はすごいな。確かにそうだ。ツァートリベスの大統領に攻撃するように言って戦争を起こしたのは私だよ。ツァートリベスに輸出されるフォーチュレイに爆弾を仕掛けるように言ったのも私だ。」
「でも、何で?」
「嫌気が差したんだよ。」
「嫌気?」
「実は私も第1文明の星から拉致されてきたんだ。最初は自分の星では見られないような光景ばかりで楽しかったんだが、次第に便利すぎる世の中に嫌気が差してきて、いっそのこと戦争を起こしてすべての星を戦争に巻き込んで、原始的な生活に戻ればいいと思ったんだ。でも、私が死ねば戦争は終わって全てがおじゃんになる。だから、ここで死ぬわけにはいかない。」
そう言ってアーリファターは銃を取り出し、公人に向けた。公人はその瞬間指を銃のトリガーにかけて引いた。すると、アーリファターはその場に倒れ込んだ。
翌日
「ツァートリベスがテーリヴィル宣言を受諾したことによってツァートリベスとテールヴィルの戦争は終結しました。」
エアビションに映るアナウンサーはそうニュースを伝えた。公人は自分の部屋でそのニュースを観ながら飲み物を飲んだ。すると、ペティカにアスティーから電話が掛かってきた。
「よう、また飲み会か、おっけ、じゃあ今日の夜いつものところで集合な。」
公人はペティカを耳にあてて、そう言って電話を切った。
終わり
ペステフィア こどくのマスター @kodoku137928
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