ツァートリベス
翌日
公人はペティカという携帯電話の音で目が覚めた。公人がペティカを見ると公人が働いている宇宙航空会社の上司から電話が来ていた。公人が電話に出ると、上司に「今日、ツァートリベス行きの宇宙船を担当してくれないか」と言われた。ツァートリベス。それは地球くらいの文明の星、第1文明の星を侵略している、宇宙でもかなり悪名高い星だ。その星に行けと上司に言われた。断るわけにもいかないので、公人は分かったと言ってしまったが少し心配になった。最近は宇宙連合とツァートリベスの関係が悪化しており、いつ戦争が起きてもおかしくないと言われるくらいだった。実際、過去にはツァートリベスと宇宙連合に加盟しているログレスアンという星との間で戦争が起きたことがあり、お互いの星の人口の1割が亡くなった。そんな事があった星に行かなければならないと考えると公人はどんどん心配になってきた。
1時間後
公人は宇宙港に着き、職員専用の更衣室に入り、制服に着替えた。そのまま荷物検査をするためのゲートをくぐり、宇宙船のコックピットに入った。宇宙船は基本パイロットは1人しかおらず、地球で言う副操縦士のような人がいらなくてもいいように人工知能が離着陸以外の操縦や管制との連絡を担当する。人工知能が壊れることもあるため念のため人が乗っているが、大体の操作は人工知能がやる事になっているのだ。とはいえ、宇宙船のパイロットになるのはとても難しいことだ。公人が宇宙船のパイロットになった時はとても喜んでいたが、今だけはパイロットになったことを後悔していた。ツァートリベスに滞在する期間はたったの2日だが、それでも公人はとても心配だった。公人は心配になりながらも出発する準備を着々と進めた。20分ほどすると乗客が全員搭乗し終わり、宇宙船は搭乗口から離れた。宇宙船のシステムはとても地球の飛行機に似ており、搭乗口から離れたあと誘導路を通って滑走路に着き、そのまま離陸するというシステムなのだ。強いて言うなら、コックピットの窓に通れと指示された誘導路や使えと指示された滑走路が光るように写るようになっているところが違うが、それ以外は基本飛行機のシステムと似ている。公人はコックピットの窓に写った誘導路を通り、滑走路に着いた。公人はそのままレバーを前に倒した。すると、宇宙船は急激に加速し、3秒くらいすると公人は操縦桿を手前に引いた。すると、宇宙船は宙に浮いて宇宙へ向かった。少しすると周りは暗くなり、宇宙空間へ突入した。公人は窓の下にあるボタンを押した。すると宇宙船は勝手に方向を変え、宇宙空間に浮いているスペースインターチェンジへ向かった。どうやら宇宙船は飛行機で言うオートパイロットのようなモードになったようだ。そのまま宇宙船はスペースインターチェンジに入った。ワープ線の中は宇宙空間とは真反対で真っ白で明るく、周りを見ると大量の宇宙船が飛んでいた。
6時間後
宇宙船はツァートリベスが所属するキリアラース系にあるスペースインターチェンジに近づいてきた。目的地が近づくにつれて公人の心配はどんどん大きくなってきた。そのまま宇宙船はワープ線を出て、宇宙空間へ出た。少しすると目的地であるツァートリベスが見えてきた。ツァートリベスの見た目は黒く暗い星だった。どうやら過去にログレスアンとの戦争をしたせいでツァートリベスは黒い霧に囲まれてしまったようだ。宇宙船は帰りたいと思う公人の気持ちとは反対にツァートリベスへ向かっていった。少しすると宇宙船はツァートリベスの分厚い霧の層へ突入した。2分くらいするとツァートリベスの地表が見えた。まるで夜と勘違いするくらい暗く、星の見た目とは裏腹に綺麗な夜景が見えた。そして、目的地である宇宙港は不気味なくらい明るかった。公人はオートパイロットを解除し、操縦桿を握った。そのまま宇宙船は滑走路に着陸し、誘導路を通って搭乗口に着いた。乗客が降りたあと公人も宇宙船を降り、手続きを終えて宇宙港を出た。宇宙港の出入り口は結構栄えており、人がたくさん行き交っていた。昼夜関係なく暗いが、いつも夜の星だと考えれば意外と怖く感じる事はなかった。公人は予約しておいた宇宙港の近くにあるホテルに向かった。ホテルに着くと、思ったよりも豪華で公人は驚いた。部屋の内装も結構豪華で、ツァートリベスに来る前の公人の心配は消え去った。公人はソファに腰掛け、エアビションと言う映像を宙に浮かすテレビのようなものをつけた。すると、ツァートリベスがテールヴィルに攻撃をしたというニュースが映った。公人は少し心配になったが、自分が帰るまでは戦争は始まらないと自分に言い聞かせて自分を安心させた。
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