事故紹介、再び……
6人ずつに分かれたクラスメート達はそれぞれ、自己紹介を始めている。俺? こっそり抜け出そうとしたところを有馬に捕まり、不本意にもリア充が多く集まるチームに強制的に入れられてしまった。
俺のチームメンバーは、イケメン君こと、池谷君に黒髪ギャル河合さん、微妙イケメン有馬と田中(仮)君と鈴木(仮)さんと俺である。
田中(仮)君と鈴木(仮)さんに関しては、自己紹介中、空気になろうとした結果、名前を聞き逃してしまった。うん、これはしょうがないねっ(最低)!
イケメン君の自己紹介が終わり、ついに俺の番が来る。大丈夫、昨日の反省を活かし、俺は新たに自己紹介を考えてきたのである。女川透は成長する男なのである。
夜遅くまで考えていたので、少しだけ寝不足である。しかし、その分クオリティは高いはずだ。ここで一晩かけた俺の自己紹介が日の目を見るぜ!
「やぁ、俺は高校生ボッチ、女川透。過去には、ボッチなのに遊園地へ行って迷子になってしまった。ボッチで迷子な俺に気がついた遊園地のスタッフさんは俺を案内してくれた。ボーっとしながら案内されるまま歩いていると……遊園地の入り口についていた! たった一人で人生生き抜く見た目は陰キャ、頭脳も陰キャ、その名は、ボッチ学生、女川透!」
「「「……」」」
ふっ、決まった……。俺の自己紹介に感動し、チームメイトは声も出ないようだった。拍手してくれてもいいんだぜ?
「……透、お前何やってんだ?」
「何って自己紹介だが?」
「そんな自己紹介があるか! 見ろっ! みんな固まっちまってんじゃねぇか! 平野と光井さんなんて目の前の状況に混乱しすぎて、虚空を見つめたまま動かなくなってるぞッ!」
「なにぃーッ!」
俺は……またもや失敗してしまったというのか。俺の自己紹介が
ちなみに、どうやら田中(仮)君は平野君で、鈴木(仮)さんは光井さんという名前らしい。有馬、さりげなく教えてくれるなんていい奴!
「ハァ……。もう透の事は放っといて、アップ始めようぜ?」
そう言って、有馬は籠に入っていたバレーボールを持ってくる。どうやら、スポーツ大会の種目はバレーボールらしい。
チームスポーツなんて、ボッチが一番やっちゃいけないものじゃあないか! 少しでもミスすれば、チームメイトから非難の視線を受けること間違いなしである。一つ一つのプレーが命懸けになってしまう!
確か、種目を決めたのは茶髪ギャルちゃんだったな。天使さん……なんて恐ろしい子! これは悪魔的所業である。よし、この悪魔的所業から、これからは堕天使さんと呼ぼう。
で茶髪ギャルちゃんの呼び方が、堕天使さんに(俺の中で勝手に)なった所で、チームメイト達が円状に広がり、バレーボールでレシーブをし合う。
「はい、光井さん!」
ポーン。
「行くよ、池谷君」
ポーン。
目の前では、バレーボールが縦横無尽に飛び回っている。
「行くぞ、透!」
ポーン。
俺がボーっと目の前で行き交うバレーボールを見ていると、正面にいた有馬がボールをオーバーハンドで俺の方へ弾く。
俺は自分に向かってくるバレーボールを……真っ直ぐ目の前の有馬に向かって叩きつける!
うおおお! 貴重な休日の仇!
「死ねぇぇぇぇぇ!」
「うおっ! 危ねぇ!」
有馬の顔面目掛けて飛んでいったボールだったが、有馬はすんでの所で避ける事に成功する。アレを避けるとは、顔は微妙なのに運動神経はそこそこ良いらしい。
「……チッ!」
俺は有馬にボールが当たらなかった事に思わず、悪態をつく。
「透ッ! てめぇ、何してくれとんじゃあ!」
「うるせぇ! 俺はお前が無理矢理連れてきた事を忘れてねぇからな!」
俺は執念深い男なのだ。たとえ男であろうと、女であろうとやられたらやり返す。俺は、真に男女平等を実現している男なのだ! フェミニスト当たりが聞いたら怒り出しそうではあるが……。
やり返す相手が微妙にイケメンな中途半端野郎なら尚のこと言うことなしだ。その中途半端な顔をボコボコにしてやんよ!
「まっ、まあ、女川君も落ち着いて……」
そう言って、光井さんが俺のことを宥める。ここは素直に光井さんの言うことに従い、とりあえず有馬への遺恨は忘れることにした。初めて関わる相手に注意されると気まずいからな!
その後は特に何か問題が起きることもなく、俺たちはアップを終えるのだった。クソッ、一度目以降、有馬が警戒していて隙がなかったのだ。
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女川君は女性運が悪い〜俺は普通の高校生なのにいつも女性に絡まれている。もう放っといてくれないかな〜 片野丙郎 @flare_thomas
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